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2023.03.02

ホームヘルパーがいない? 在宅介護のニーズ高まる米国の深刻な状況

Getty Images

米国では社会がますます攻撃的になるなか、訪問介護員(ホームヘルパー)たちが仕事中に訪問先の家族や近隣の住民から怒りや不満をぶつけられたり、暴行を受けたりする事件が増加している。

こうした事件に関する情報を全米規模でまとめた信頼に足るデータがないことから、米国内でこの問題がどれだけ深刻化しているのか、確実に把握することは難しい。

だが、新型コロナウイルスのパンデミックが発生して以降、個人宅を訪問する介護員や看護師、介護サービスに関わる多くの人たちが「暴行事件は増加した」と訴えている。そして、関連団体によれば、これはあらゆる 社会経済的集団においてみられる傾向だ。

病院などの施設で働く医療関係者には、近くに同僚や警備員がおり、助けを求めることができる。だが、ホームヘルパーたちは1人で個人宅を訪問する。これは、場合によっては恐ろしいことだ。

一部の訪問先には、いくつもの銃がある。住人が麻薬の売人ということもある。訪問するスタッフが途中で襲われて金品を奪われたり、玄関でショットガンを持った人に出迎えられたりすることもある。

以前はホスピスに常駐していたというある聖職者は、ホスピスケアを受けている末期の患者の自宅を訪問中、成人の息子がピストルを振り回したため「成人保護サービス(ASP)」に電話をかけたことがある。だが、このときASPは「その息子が実際に誰かを脅したり、発砲したりしない限り、できることは何もない」と対応したという。

労働力需給は「危機的」状態

現在のような状況になる以前から、介護を必要とする人の自宅を訪問する仕事は、米国で最も危険な仕事の1つだった。仕事中に負傷(背部損傷が大半)する可能性は、炭鉱労働者より高くなっている。一方で、時給は14.15ドル(約1900円、2021年の中央値)だ。

医療従事者のうち、新型コロナウイルス感染症による死者は数千人、離職者は数百万人に上っている。パンデミックを受けて離職したホームヘルパーなど、患者と接する仕事をしていた人の多くは、復職していない。

その上、暴力事件が増え、銃の販売数が増加している。「フェンタニル(合成オピオイド)」をはじめとする薬物に対する需要はとどまるところを知らず、メンタルヘルスの危機もさらに深刻化している。
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編集=木内涼子

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