追い付かない対応
米国では、自宅での長期の介護を必要とする人がますます増加し、スキルを習得した看護師による医療処置も、より多くが患者の自宅で行われるようになっている。ホームヘルパーの需要は、爆発的に高まっている。一方、暴力に対する恐怖から、介護職の離職者は増加、新たに採用できる人材も減少し、自宅で要介護者の世話をする成人の子どもや配偶者、その他の親族は、さらに増加している。
ホームヘルパーを派遣するエージェントなどは、訪問介護をするスタッフに非常用ボタンなど、身を守るための機器を支給している。また、特に危険な地域を訪問する場合には、警察に護衛を依頼している。
そのほかエージェントは、薬物や金銭を狙った路上強盗の被害を避けるため、社用車にロゴを入れるのをやめたり、個人宅を訪問するスタッフには、医療用スクラブの着用を呼びかけたりしている。
安全ではないと考えられる地域へのスタッフの派遣を断ったり、危険な地域でのサービスの提供を中止したりするエージェントも現れ始めている。
訪問介護に応じるホームヘルパーや看護師の不足は、パンデミック発生前から深刻な問題だった。低賃金、限られた昇進の機会、そして移民の受け入れ制限といったことがすべて、この分野の労働力の減少につながっていた。
そしていま、暴力に対する恐怖というもう1つの要因が、労働力不足をより一層、深刻化させている。
(forbes.com 原文)