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2023.03.03

スマートシティや地域経営の活性化を見据えて 伊勢から全国へ──NEC「観光DX」の挑戦

現在NECでは「観光DX」を推進し、三重県伊勢市で「Desika™:伊勢でしか」を提供している。同社と、伊勢市情報戦略局デジタル政策課の奥田教行、産業観光部観光振興課の東良二らが先導した「観光DX分科会」フォーラムでは「観光起点のスマートシティ」の実現と「観光を軸にした地域経営」について、活発な議論が展開された。


NECが進める観光DXとは「さまざまな領域や業種を超えて、地域が一体となって取り組む」ものだ。NECクロスインダストリー事業開発部門 山本啓一朗は「観光DXサービスにより、旅行者・地域住民双方に質の高い情報を提供したい。また地域では、取得できた利用者データを解析し、課題を整理し、新たな施策へ反映していく。NECは全国の観光地でこの取り組みを推進することで、地域の好循環モデル実現を目指しています」と説明する。

2022年7月22日〜10月31日に、伊勢市においてLINE公式アカウント「Desika™:伊勢でしか」を活用した観光DX実証事業第1弾が実施された。本サービスは、伊勢神宮(外宮)前であり、観光地と生活の場所の両面の顔をもつ伊勢市駅周辺エリアでしか体験できないことにスポットを当て、収録したガイド情報をもとに、特典の配信や、チャットボットの会話を通して同エリアのおすすめ情報を教えるというもの。

「Desika™:伊勢でしか」の「ミッション機能」は、実際にさまざまな観光地に足を運ぶことでクリアを目指すアトラクション。この日は「虎屋ういろ本店」の虎が描かれた暖簾を撮影するというミッションに挑戦した。(開催期間は3月31日まで)

「Desika™:伊勢でしか」の「ミッション機能」は、実際にさまざまな観光地に足を運ぶことでクリアを目指すアトラクション。この日は「虎屋ういろ本店」の虎が描かれた暖簾を撮影するというミッションに挑戦した。(開催期間は3月31日まで)


この第1弾で取得した利用者の行動データを分析、さらなる回遊促進と滞在時間延長の実現を目指し、改善を施した第2弾が23年1月27日からスタートした。今回導入されたのは、「ミッション機能」だ。「飲食店や地域店舗の写真を投稿する、キーワードを見つけて入力するといったミッションをクリアすると、参加者はコインを獲得できます。ゲーム感覚で観光スポットを巡って楽しんでもらいたい」(NECクロスインダストリー事業開発部門 田中淳奈)。

コインの獲得数は参加者全員のランキングで表示され、獲得数の多い参加者2組4名が、伊勢市内での宿泊に招待される。ミッションが設定されている場所は、駅周辺とはいえ、初見ではなかなか足を向けないローカルな場所。地域に愛されている味や暮らしのなかの施設など、ミッションに参加しながら、地元民目線で伊勢市駅周辺を深く知ることができる。

実証事業は3月31日まで実施されるが、スタートに際し、有識者と地域のステークホルダーが現状と課題を共有する『(一社)スマートシティ社会実装コンソーシアム「観光DX分科会」フォーラムin 伊勢』が2月1日に開催された。

フォーラム前半のパネルディスカッションでは、日本地域国際化推進機構の伏谷博之代表理事、國友尚理事、牧野友衛理事という3名のパネリストが、「観光を軸にした地域経営」をテーマに、それぞれの専門的見地から観光新時代におけるDXの役割について意見を述べた。

日本地域国際化推進機構 代表理事 伏谷博之

日本地域国際化推進機構 代表理事 伏谷博之

日本地域国際化推進機構 理事 國友尚

日本地域国際化推進機構 理事 國友尚

日本地域国際化推進機構 理事 牧野友衛

日本地域国際化推進機構 理事 牧野友衛


観光庁アドバイザリーボード委員も務めた伏谷は「DXが目的化してはいけない。DXを使って何を達成したいのか、目的を突き詰める必要がある。観光をきっかけとして、外から多くの人に来てもらう。その結果として地域をどのようにしていきたいのかを皆さんで考えていただきたい」と、世界の著名観光地での事例をもとに、目的を深掘りする必要性に言及。

また、ヒューマンシステムデザインを用いてさまざまな領域で持続可能な価値創造を推進する國友は「地域のポテンシャルを整理すると同時に、誰に伝え、どのように楽しんでほしいかまでデザインすることが重要」と解説し、地域の魅力をより多くの人が享受できるようにしていくためのデジタル技術であり、デジタル技術優先で無理矢理価値を創造しても、旅行者には受け入れられないといった、観光DX推進の根本に言及した。

さらに地域の観光資源に文化・歴史的意義だけではなく聖地巡礼やSNS映えといった多様な価値をオンライン地図に可視化して楽しむという新しい観光の概念「メタ観光」を提唱し、メタ観光推進機構を設立した牧野は、「世界から訪れる人にも通じる観光コンテンツがこれからは必要。情報の検索から予約までスムーズに日本人・外国人旅行者が行えるよう、オンラインでの体験の価値向上を図っていけるものでなくてはならない」と、世界目線による観光DX導入へのアプローチ方法を説いた。

観光DX導入の要は
住民と旅行者、双方のメリット

フォーラム後半では、参加者が5つのグループに分かれて行うワークショップが実施された。スマートシティ社会実装コンソーシアム観光DX分科会企業ほか、伊勢市役所、伊勢商工会議所や伊勢市観光協会、伊勢まちづくり株式会社をはじめとした地元事業者など伊勢市の観光施策に携わる面々が「持続可能でにぎわいのある地域づくり」をテーマに、必要なこと、実現するための課題、そして伊勢で取り組むべき課題について意見を出し合った。参加者はアイデアを付箋に書き込み、各グループのホワイトボードに次々と貼っていく。

観光客と住民、その双方により良いまちづくりとは何か。参加者たちからはアイデアや課題が次々と提示された。

観光客と住民、その双方により良いまちづくりとは何か。参加者たちからはアイデアや課題が次々と提示された。

魅力の伝え方から住民が主体的に動くための理由づくり、交流ポイントの醸成、ペルソナ構築、アクセシビリティの向上、情報発信施策、ターゲットの設定、宿泊施設の誘致、回遊性の人口確保から住宅配置まで、テーマは尽きない。印象的だったのは、誰もが課題だけではなく解決案も一緒に提示していたことだ。その内容に対してさらに新たな議論が生まれ、アイデアが続々と創出されていく。NECと伊勢市が共に「地域を観光で盛り上げたい」「住民が喜ぶ観光都市運営をしていきたい」という熱い思いに突き動かされているようだった。

「持続可能で賑わいのある地域を実現するための課題」についての議論は白熱した。

「持続可能でにぎわいのある地域を実現するための課題」についての議論は白熱した。


ワークショップ終了後、参加者からは「行政と地域事業者が観光客の実績および予測データを共有し、施策決定につなげていくという観光DXの先進性にわくわくした」という声や、「観光施策は外だけでなく、実際にそこで暮らす住民にもしっかりその内容を理解してもらうことが大事だと感じた。街全体でモチベーションをあげて取り組んでいきたい」といった意欲的な感想が聞かれた。

今回のフォーラムを振り返り、NECの山本は「観光はまちづくりだという事を改めて実感しました。地域の皆さんが自分事として取組むことでにぎわいが生まれ、訪れる人々にとっての価値が高まり、更なる活性化に繋がっていく…そんな好循環な仕掛け・仕組みづくりを伊勢の皆さまと引き続き一緒に取組んでいきたいと思います」とコメント。

また、伊勢市情報戦略局デジタル政策課の奥田は「伊勢市はDX推進によりさまざまな地域課題を解決していくことを目的として、スマートシティ伊勢推進協議会を設立しています。今回のフォーラムを通じて、伊勢市の観光DXに関わっていただく方が増えることは大変ありがたいことです。パネルディスカッションとワークショップでは、観光DXに限らず、熱心に幅広い議論していただきましたので、伊勢市のDX、スマートシティ推進に活かしていきたいと思います」と総括した。

フォーラムのクロージングで伏谷が参加者に今後の課題として提示したのは、ブランディング、イノベーション、インクルージョン(一体性)の3点。伊勢神宮や式年遷宮といった2000年近く続く価値をベースに、地域が目指す未来のために何をどうやって誰に伝え、人を呼び込むのか。自分たちの手による地域経営を実現するために「観光DX」をどう介在させていくのか、伊勢市の挑戦はまだ始まったばかりだ。



「Desika™:伊勢でしか」

一般社団法人 スマートシティ社会実装コンソーシアム

一般社団法人 日本地域国際化推進機構

Promoted by NEC / text by Isao Hashimoto / photographs by Ryo Kosui / edit by Mao Takeda / 写真協力:伊勢神宮

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