半面、インドの航空サービスは依然として不十分とみられている。米証券会社Jefferies(ジェフリーズ)のアナリストらは、中国の航空会社の保有機材数が合計で3922機なのに対して、インドの航空会社の保有数は646機にとどまると指摘している。
シンガポールの航空コンサルタント、ブレンダン・ソビーは「(インドの航空業界については)いつまで経っても『未来』の話ばかり。インドの航空会社の収益を阻んでいる根本的な問題はまるで解決されていない」と苦言を呈する。
エア・インディアが今回の取引で調達する機材には、ワイドボディ機(双通路機)も70機(ボーイングの「787」20機「777X」10機、エアバスの「A350」40機)含まれる。機材取得に大きなコストをかけてでも、国際線市場でシェアを取り戻しにいく考えなのだろう。これは航空機メーカー側にとっては朗報だ。こうした大型機は利益率が高いが、コロナ禍で落ち込んだ受注が大幅に改善してきているナローボディ機と対照的に、依然として需要が低迷しているからだ。
だがエア・インディアの前には、エミレーツ航空とカタール航空という強敵が立ちふさがる。2社はこれまで、インド人の旅客を中東のハブ空港経由で欧州や米国に輸送する路線などで潤ってきた。
一方が得れば他方が失うというゼロサムゲームではないのかもしれない。ソビーも、インド市場が見込みどおりに成長していけば「多くのプレイヤーにチャンスがある」と話す。
とはいえ、それは「規定シナリオ」などと呼べるようなものではない。エアロダイナミック・アドバイザリーのアブラフィアはこう警告している。「モディ政権は確かに成長促進を掲げているが、インドは航空宇宙分野に関する限り、これまで期待はずれの国だったのが実情だ」
(forbes.com 原文)