キーワードは「ヒューマンセキュリティ」 テクノロジーの世界でも潮流が変化

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世界最大規模のテクノロジーの祭典とも言えるCES。直接現地に出向くことができた今年は、「Covid19で世界が立ち止まった後、やっと歩み出した」と感じた。3年という時間を経て、CESが打ち出すメッセージが大きく変わったのだ。

テクノロジーの世界においても、潮流が確実に変わってきている。そのことは、CESを主催するCTAのCEOであるゲイリー・シャピーロ氏のキーノート・スピーチに、明確に現れていた。

CTA State of the Industry and John Deere Keynote

24分27秒から30分29秒、映像も含めた6分という短いスピーチ。その中で彼が語っていることを簡単に訳そう。


ありがとうございます。そしてCES2023にようこそ、特にしばらくご無沙汰していた方。
何人の方が3年ぶりに来られたのでしょうか?ワオ、特に、昨年2022年に来てくださった方に感謝いたします。

これは、新しいポスト・パンデミック時代、あるいはパンデミックと共存する時代の最初のCESであるだけではなく、初めてテーマを設けたCESです。このテーマ(BE IN IT)は「世界をより良くするために、テクノロジーができること」に焦点をあてています。

実際、私たちは国連の人間の安全保障基金世界芸術科学アカデミーと提携し、「すべての人のための人間的成熟度キャンペーン」と呼ばれるキャンペーンを支援しています。

これは、技術革新によって、人間の安全保障(ヒューマンセキュリティ)、つまり人権を守ることができることを示しています。人間の安全保障とはどのような権利なのか、考えてみてください。私たちが推進しているのは、人間としての基本的な存在、きれいな空気やきれいな水、食べ物や空腹でない権利、ヘルスケア、地域社会への参加、政治的関与に関わるものです。

これらは、国連や他の機関が基本的人権と認定しています。そして、これらの素晴らしい点は、その実現にテクノロジーが一役買うことができるということです。

多くの人々にとって、今日の世界は不安なものです。多くの前線での脅威、暴力的な紛争、自然災害、持続的な貧困、疫病や経済の低迷の危険、平和、安定、持続可能な開発でいっぱいです。これらの脅威は、もはや国境に限定された孤立した出来事ではありません。

CESの素晴らしいところは、私たちの世界を実際に変え、より良くすることを約束するイノベーションを見ることができるところです。

イノベーションとモビリティ、デジタルヘルス、人工知能、ロボット、食品技術、スマートホームなど、さまざまな分野でイノベーションを見ることができます。例えば、農業技術が世界の飢餓と戦い、食糧生産をより簡単に、より持続可能なものにしていることを考えてみてください。

今朝は、そのような話をたくさんお聞きします。


ゲイリー・シャピーロ氏はこの短いスピーチと映像の中で、世界をより良い場所にすること、人間がその中心ということ、次世代のテクノロジーは革新的な解決策となり、我々の未来を再構築する可能性を秘めていること、を語っている。
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文=日野江都子

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