心身ともに安全に生きていくためには?
テクノロジーとは関係ないのだが、本コラムを書きながら筆者の脳裏で流れていたのは、Michael Jacksonの『Heal the world』だ。歌われている歌詞の内容は、最新テクノロジーとは対極にあるコンセプトかもしれないが、目指すのはどちらも同じMake the world better place(世界をもっと良い場所にする)こと。心理的アプローチ、そして最新技術的アプローチ、人が心身ともに安全に生きていくためには、どちらが欠けてもどちらの力が大きくなりすぎても、歪みが出る。車の両輪のようなものだ。
今年のCESは「人が心身ともに安全に生きていくために、世界をより良い場所にすること」を強く打ち出したが、CESという団体や、世界の最新テクノロジーを展開する企業の意思表示だけでは何も変わらない。それを見聞きした一人ひとりの個人が、まずは自分の周りの小さな世界をよりよくする為のことを、少しでも考えて、自分にできる小さい選択と行動とを起こす必要がある。
「Better world(より良き世界)」は、個人が意思を持って起こすたった一つの小さい行動だけでも変わる。その意思の集合こそ、最新テクノロジーがよりよく使われ、より良き世界を作るための一助になっていくと信じたい、そう心から願ったCES 2023であった。