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2023.02.17 08:30

地上に太陽を生み出す 日本発・核融合ベンチャーの現在地

Getty Images

日本から世界初の商用核融合炉の実現へ

1950年代ごろから本格的に研究開発が進められてきた核融合発電だが、難易度が高過ぎるため実現できないと思われていた。しかし、近年の技術革新によって社会実装も夢ではなくなってきた。各国が研究開発に力を入れており、世界中で多くの核融合スタートアップがしのぎを削っている。
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Helical Fusionはそんな群雄割拠の核融合スタートアップ界でも一歩先を行く存在で、定常的に稼働する世界初の核融合炉を2034年に完成させようとしている。その時に目指しているのは原発の20分の1から10分の1のエネルギー量の5万から10万キロワット級の核融合炉の実現。そのための技術と設計を完成させることができればまさに革命といえる。

開発の鍵となる技術は岐阜県にある核融合科学研究所での研究が基になっている。核融合科学研究所では数年前に1億度のプラズマの生成に成功しており、研究成果を社会還元するための「研究成果活用企業」という制度で社会実装のための事業化をスタートした。

核融合科学研究所では、大型ヘリカル装置を用いて1億度のプラズマ生成を達成し、さらに同じ装置で約1時間のプラズマ維持にも成功している。これは世界で唯一の実績だ。
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そして、Helical Fusionはその後に立ちはだかる「発生したエネルギーを効率よく取り出す」という大きな壁に挑戦している。目下、磁場を発生させるコイルや発生した中性子からエネルギーを取り出すブランケットの改良に取り組んでおり、核融合スタートアップとして世界の先頭を走っている。

想いを持った研究者との出会い

核融合技術に関わりのなかった田口がHelical Fusionを創業したのは、核融合技術の権威である宮澤順一との出会いだった。
Helical Fusion 共同創業者 宮澤順一

田口は大学と大学院で哲学を学び、新卒でみずほ銀行に入行した。その後、コンサルティング会社や大手保険会社を経て金融系スタートアップのCOOを務め、その傍ら金融業界とスタートアップでの経験を活かし、個人的に事業開発のコンサルティングをしていた。そんな折、友人から「知人の研究者が会社を作ろうとしているんだけど、いかんせんビジネスの経験がないのでちょっと手伝ってもらえないか」と相談をもらった。

その研究者が核融合技術研究所の宮澤だったのである。核融合に関する研究を25年以上に渡って続けてきた宮澤は、核融合炉を社会実装するために研究者仲間4人で会社を立ち上げようとしていた。田口にとっては全く未知の分野だったが、宮澤たちの熱意に惹かれ、会社の立ち上げ方や資金の集め方、起業際の注意点などのアドバイスから事業計画の作成まで無償でサポートした。
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文=入澤 諒

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