小型合成開口レーダー(SAR)衛星から地上に電波を照射することで、「鳥の目」のように広範囲の地形や建物の状態を1~3mの分解能で詳細にとらえることができる。全天候型で、通信網が遮断された災害時にも観測し続けられるため、救助が必要な場所の特定などに使えるのが特長だ。
さらに、取得したデータを自社で解析し、顧客が求めるソリューションを提示するサービスにも力を入れる。
代表を務める新井元行は、これまで多くのソーシャルビジネス関連のプロジェクトに参画してきた。
環境やエネルギーなどの社会課題を解決する方法を模索していたときに、内閣府の革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)が進める小型SAR衛星と出合い、2018年プロジェクトマネージャーだった白坂成功とともに創業。20年には初の実証機を打ち上げ、22年3月には実証二号機、9月には商用実証機の打ち上げにも成功。
2020年代後半までに30機体制の衛星群の構築を計画している。世界でも5社ほどしかないトップ集団に位置している。「集めたデータは徐々にオープンプラットフォーム化していきたい。全地球規模でデータを観測し、みんなで『いま人類は何をするべきなのか』を議論し、提言できるような会社になれたら」
あらい・もとゆき◎米系コンサルファームを経て、東京大学で途上国のエネルギー問題など、社会課題を解決するプロジェクトに従事。Synspective代表取締役CEO。博士(工学)。