起業家

2023.02.08 09:00

Web3起業家の渡辺創太が米国で得た、事業成長を生む考え方 #1

渡辺:シリコンバレーに根付いているカルチャーの1つに「ペイ・フォワード」がありますよね。人から受けた親切を、別の人へ新しい形でつないでいくという文化。

隣の席で働いている人が、一年後にはマーク・ザッカーバーグのような成功者になっているかもしれないし、誰が成功するかわからないから、とにかくペイ・フォワードしていれば巡り巡って自分に還ってくると。シリコンバレーで働くうちに、自然とその思考が身についたんだと思います。

海外投資家の心を動かすコツ

内山:とはいえ、信頼を積み重ねて海外での資金調達につなげていったのは、そう簡単ではなかったはずです。最初の資金調達は、どのようなタイミングでしたか?

渡辺:2021年2月に、Binanceがリード投資家となって実施したのが初でした。Polkadotの価格が伸びていたなかで、僕らがPolkadotのエコシステムをリードするプロジェクトの1つとして台頭してきたタイミングでしたね。

僕たちみたいなスタートアップが急成長するには、巨人の肩に乗るのが大事。まだ実績はないし、自分でプラットフォームを作れるわけでもないので、成長過程にある巨人に乗るのが重要です。Polkadotが伸びたから我々も伸びるという、わかりやすい構図を作れたのがよかったですね。

伸びる技術、伸びるプラットフォームに張るという、投資家的な視点を持つのはとても重要です。

内山:ポリチェーン・キャピタル(Polychain Capital)にも、何度も投資を断られたけど交渉し続けていましたよね。

渡辺:はい、2回断られて、3回目の交渉でいきなり約20億円の投資を決断いただきました。粘り強く交渉した甲斐がありました。

内山:そこから得た教訓は?

渡辺:やはり、理解や信頼を得るための行動を継続するべきということですね。日本人がグローバルで戦う場合、どうしても言語や文化の壁に当たります。現地のアメリカ人と同じ土俵で、同じ戦い方をしても勝てる確率は低い。

だから僕たちは、自社の開発プロセスを開示して、投資家から信頼できる企業として認めてもらうためのコミュニケーションを積み重ねていました。

内山:急激な成長の裏側にはそのような地道な努力があったわけですね。

次回は、世界で戦える組織はどう構成すればいいのか、創太くんの組織論やマネジメント論を教えてください。

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取材=内山幸樹 構成=水落絵理香 編集=露原直人

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