都市の緑を増やせば「高温による死者」は減少、科学者が指摘

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都市部でより多くの木を植えることで、夏の高温で死亡する人の数を減らすことができるという研究結果が1月31日、医学ジャーナルのランセットで公開された。

都市部の気温は農村部よりもはるかに高いが、これは、植物や緑地が道路や建物などに取って代わられ、ヒートアイランド現象が起きた結果とされている。

この現象は、気温が危険なレベルまで上昇し、熱に起因する死者が増加する夏に特に問題となっているが、研究チームは、植樹を増やすことで対処できると指摘した。研究者らが、欧州の93都市に住む約5700万人の死亡データを分析したところ、6700人の死因が暑さによるものであることが判明した。

研究チームは、都市の樹木で覆われる面積を30%にまで増やせば、これらの死者を約40%減らすことができたと試算している。都市に焦点を当てた今回の研究は、ヒートアイランド現象に伴う負担を推定した初めての研究であり、気温を下げる効果のある樹木を増やすことで、高温に対処できることを示した初めての事例だと研究者は述べている。

論文の共著者であるバルセロナ国際保健研究所のマーク・ニューウェンホイセンは、都市計画者や政策立案者が都市に緑地を含めるよう促すべきだと述べている。また、緑地が血管疾患や認知症、精神疾患を減らすなどの健康増進作用を持ち、認知機能の改善にも役立つと指摘した。

ワシントン大学の健康と環境担当のクリスティ・エビ教授は、この研究が都市計画者が気温上昇の影響に対処する方法を示していると述べている。気候変動による気温の上昇が続く中、このような対策は特に重要であり、暑さを軽減するためのインフラの整備などの他の施策と組み合わせる必要があると、エビ教授は指摘した。

世界保健機関(WHO)によると、猛暑は世界中で年間数十万人の死因となっており、心臓病や糖尿病、肥満などの疾患のリスクの上昇と関連している。また、暑さはメンタルヘルスを悪化させ、認知機能を妨げ、人々をより攻撃的にする場合もある。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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