経済

2023.02.02

ファイザー、2023年のコロナワクチンと経口薬の売上60%減を予想

Getty Images

米製薬大手Pfizer(ファイザー)は1月31日、新型コロナウイルス感染症のワクチンと経口薬の売上が今年大幅に減少するとの見通しを示した。投資家らはコロナの感染や入院の状況が安定し、米政府のワクチン補助金がなくなるという、ファイザーが異なる現実に直面することを受け止め、株価は下がった。

ファイザーによると、2022年10〜12月期の1株当たり利益は1.14ドル(約148円)、売上高は243億ドル(約3兆1600億円)で、アナリストのコンセンサス予想をほぼ上回ったが、投資家にとってはるかに差し迫った発表は今年の業績予想だった。

同社は今年の売上高は約30%減の670億~710億ドル(約8兆7140億〜9兆2345億円)、コロナワクチンおよび経口薬パクスロビドの売上高は約60%減の215億ドル(約2兆7960億円)を予想している。

米政府が3年間続いた新型コロナの国家非常事態宣言を今春解除すると発表し、コロナワクチンへの助成を停止する計画であることから、2023年のコロナワクチンの需要は29%減の約6500万回分になると予想しているとファイザーは述べた。

同社の株価は取引開始間もなく1.8%下落し、コロナワクチンの競合相手であるModerna(モデルナ)の株価も3.1%下落した。

米国がパンデミックの最悪期を脱する中、ファイザーは以前からコロナ治療薬に対する需要の低下を警告していた。コリン・ブリストウ率いるUBSのアナリストは先週、コロナ治療薬の売上減少が予想されるとしてファイザー株の投資判断を中立に引き下げた。2023年のコロナ関連の売上予想を345億ドル(約4兆4870億円)から194億ドル(約2兆5230億円)へとほぼ半減させた。ファイザーは昨年10月、コロナワクチン1回分の価格を110ドル(約1万4000円)から130ドル(約1万7000円)に引き上げると発表した。

2021年12月のピーク時からファイザー株は27%下がっている。株価指数S&P500の13%下落より落ち込みは大きいが、同期間におけるモデルナの41%下落よりははるかにましだ。

forbes.com 原文

翻訳=溝口慈子

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