地方における挑戦 賛否両論は未来を描いて乗り越える

AGRIST代表取締役/一般財団法人こゆ地域づくり推進機構代表理事 齋藤潤一

日本の企業が世界に出るときに足りないものは何か。そのひとつが“クリエイティビティ”だとしたら、どうしたら乗り越えていけるのか。

Kitchen & Companyの中道大輔がナビゲートするPodcast「VISION TO THE FUTURE」とForbes JAPANがコラボレート。国内外で活躍する“視点”のあるゲストとともに、考え、発信していく。

12月5日配信は、AGRIST代表取締役であり、一般財団法人こゆ地域づくり推進機構代表理事の齋藤潤一がゲスト。地方創生プロジェクトに取り組むようになったきっかけや、衰退が進む「地方」についての考えを聞いた。




中道:今回はAGRIST代表取締役で、一般財団法人こゆ地域づくり推進機構 代表理事でもある齋藤 潤一さんをお迎えしてお届けします。

齊藤さんは1979年大阪生まれ。米国シリコンバレーのITベンチャー企業でクリエイティブディレクターとしてサービス・製品開発に従事されました。帰国後2011年の東日本大震災を機に、「ビジネスで社会課題を解決する」ことを使命に活動を開始。これまで全国10カ所以上の地方創生プログラムに携わっていらっしゃいます。

2017年4月に宮崎県新富町の地域商社「こゆ財団」の代表理事に就任。1粒1000円のライチのブランドの開発、ふるさと納税で寄附金を累計70億円を集めるなど、国の地方創生優良事例に選定。2019年10月には農業用収穫ロボットの開発会社AGRISTを創業されています。

早速、齊藤さんのこれまでについて聞きたいのですが、そもそもなぜシリコンバレーに行くことになったんですか。

齊藤:関西大学在学中に親戚が交通事故で亡くなったんです。身近な人が亡くなって、いつかアメリカに行きたいと思っていたけど、「いつか」は永遠に来ないと思ったんです。だったら今行こうって。行った先が偶然シリコンバレーだったんです。

アメリカに行き、日本を外から見られたのはすごく良かったと思います。行く前は、日本は息苦しいみたいに思っていたんですけど、いやいやそれはお前次第やろうって。

帰国して、東日本大震災が起きたとき、自分のスキルとか経験は、自分が得たものというよりも、社会からもらったものなんだと実感して、地域の活動をやり始めました。

中道:活動を始めようというときに、地域にフォーカスしていったのはどういう理由だったんですか。

齊藤:地域には、伝統や文化など日本の原風景があるからです。これを次世代に繋げていきたいという思いがあります。でも、日本各地をまわってみると、耕作放棄地が広がっていたり、シャッター通りが広がっていたり、地方は希望を失ったような状況。どこも同じようなデザインで、金太郎飴みたいなまちづくりがされていることにすごくショックを受けました。

「コップの水理論」ってありますよね。コップの水が溢れ出したときに何かが動き出す。東日本大震災のときに、これで世の中の価値観がガラッと変わるなって思ったんです。資本や価値の象徴だったお金が、クラウドファンディングとかも伸びてきて、ソーシャルビジネスとかソーシャルグッドな方に流れてきている。これは自分が動き出すタイミングかなって思ったんです。
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文=久野照美 編集=鈴木奈央

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