経済

2023.02.04

食糧危機、インフレ、安全保障「旧来リスク」重なる2023年を導く4原則

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これらの複雑で同時多発的に発生するリスクを管理し、その影響を抑えることは、今ならまだ可能です。ただし、短期的な視点、危機が発生してからの対応、強調性のない行動から脱却しなければなりません。未来のリスクへの見通しをこれ以上悪化させず、より明るい時代へと導いていくためには、以下の四つの原則が重要になります。

第一に、最も重要なのはリーダーたちがリスクの時間軸を見直すことです。リスクは短期的、長期的に影響を及ぼすものですが、そのリスクに対処するための行動は、最短の時間枠、つまり今すぐに取られなければなりません。現時点でのリスクに関して言えば、社会経済的な課題と気候変動の課題に、直ちに一丸となって取り組むことが求められます。

第二に、複数の領域に関わる分野横断的なリスクへの準備に官民をあげて投資することです。金融包摂の実現、教育やヘルスケアの充実、気候変動に強いインフラ整備を通じて、レジリエントな社会を構築していくのです。成長、雇用、人材開発を国家レベルで回復させない限り、各国はますます進行する二極化と、政治停滞の深刻化という危機に直面することになります。

第三に、国際協力と多国間ガバナンスを強化・再構築することです。近年の危機の多発は、国家の目線を内向きにさせてきました。リスクにへの国ごとの備えは不可欠ですが、気候変動やテクノロジー・ガバナンスなどのグローバルリスクは、国際的な協調、データ共有、知識交換を通じてのみ、効果的に対処することができるのです。場合によっては、そうした国際協力なくして対処するのは不可能なものもあります。

第四に、グローバルレベル、国家レベル、組織レベルで、未来の展望を予測する力を向上させる必要があります。シナリオの活用、事態悪化の予兆となるデータの特定、危機管理責任者の選定、マルチステークホルダーによる認識の精査は、リーダーたちがリスクを把握する能力を強化させるのに役立ちます。

世界のリーダーたちが一堂に会する世界経済フォーラムの年次総会が閉幕しました。グローバルリスクに対する行動が議論されるにあたり、連帯、ホリスティック(全体論的)アプローチ、そして、グローバルな協力が、唯一の進むべき道となるでしょう。

(この記事は、世界経済フォーラムのAgendaから転載したものです)

連載:世界が直面する課題の解決方法
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文=Saadia Zahidi, Managing Director, World Economic Forum

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