経済

2023.02.01 10:30

インド新興財閥アダニの空売り話でも同国株式市場は暴落しない

Getty Images

アダニは1月29日、ヒンデンブルグの報告書に対してさらに長い反論の文書を出した。反論の中でヒンデンブルグを「マンハッタンのマドフ(史上最大のネズミ講詐欺とされる事件の首謀者の名前)」と呼び、報告書は「嘘以外の何物でもない」とした。
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反論の文書は413ページある。あなたが速読家で、マティーニを3杯飲むくらいの長さの昼休みがあるなら、どうぞ。

大きすぎて潰せない?

ヒンデンブルグの指摘には一理ある。評価額に関していえば、アダニの会社は普通ではない。

あらゆるグリーンエネルギーが大ブームとなっていることは多くの人が知るところだが、アダニ・グリーン・エナジーは本当に直近12カ月の利益の353倍の価値があるのだろうか。同社の株価は1月30日にインドで20%下落した。

しかしアダニの政府とのつながり、そして同社が重要なエネルギー・電力市場に関わっていることから「唯一の存在すぎて潰れない」かもしれないと、デリーのコンサル会社TS Lombard(TSロンバード)のチーフインドエコノミスト、シュミタ・デベシュワーは話す。
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アダニは大幅に修正されるだろう。しかし中国で繰り広げられているパンデミックの悲惨な状態とは対照的に、インドの株式市場は中国のゼロコロナ封鎖に便乗して利益を得た。投資家は毎日うまくいく経済に資金を投入するだけのため、インドの株式市場が暴落することはないだろう。

「インド株に対する投資家の監視の目は厳しくなるに違いないが、コーポレートガバナンスの指標ではインドはほとんどの新興国よりも優れている」とデベシュワーはいう。国際金融公社とボンベイ証券取引所が共同で開発したインドのコーポレート・ガバナンス・スコアカードによると、インドの大企業の水準は向上している。アダニは標準ではない。

大きすぎて潰せないという点では、アダニはナレンドラ・モディ政権から支持されている。モディ首相はインドで依然として高い人気を誇っている。

モディの人気度は政治指導者としては世界最高水準にあり、ヒンドゥー教の愛国主義の熱は激しく、ヒンデンブルグの見解によれば、アダニもこの流れに乗ったということだ。

アダニの問題はインドの問題ではない、だがインドは短期的にはそのあおりを受けるかもしれない。デベシュワーは「市場は数カ月以内に安定するだろう」と見ている。

forbes.com 原文

翻訳=溝口慈子

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