4. 新たな社会の方向性
CESはこれまでテクノロジーが軸足でしたが、2023年はより社会的なテーマへと方向転換を図りました。CTA、企業、講演者が発表したカンファレンスでの主な社会的テーマは以下の通りです。・サステナビリティ:電気自動車による二酸化炭素排出量の削減は数年来のテーマであり、これまでも、自動車メーカーがイベント内で少なくとも一回は基調講演を行ってきました。今年は、自動車メーカーのStellantisが、新型車やコンセプトカーの電気自動車を数台発表したことに加え、ネットゼロの目標を発表しました。また、世界的なテクノロジー企業であるPanasonicは、プレス向け発表会全体をサステナビリティへの取り組みに費やしました。
・ヒューマンセキュリティ:CTAは、より社会的な方向に舵を切り、食料、医療へのアクセス、個人の収入、環境保護、個人の安全、コミュニティの安全、政治的自由の観点から、国連が1994年に導入した概念である「ヒューマンセキュリティ」を促進するために、テクノロジーがいかに役割を果たすことができるかについて議論を行いました。
・ダイバーシティ&インクルージョン:2020年のCESで行われたIntelの基調講演では、2030年までに技術系ポストの40%に女性を起用する目標が発表されましたが、今年も引き続き、女性や多様な専門家の声が紹介されました。メイン基調講演のひとつは、チップメーカーのAdvanced Micro Devices(AMD)のCEO、Lisa Su博士によるものでした。
・アダプティブ商品:L’Oréalは、身体が不自由だったり、震えがある人のために、口紅を固定し、360度回転する携帯型メイクアップアプリケーター「HAPTA」のデモンストレーションを行いました。
5. 自動運転車はモビリティに進化
Mercedes-BenzはCES 2019で自動運転のコンセプトカーのデモンストレーションを行いましたが、技術的、社会的にはまだ課題が多く残っているため、まだ店頭に並ぶまでは至っていません。しかし、技術は進化を続けており、パイロットテストが続けられ、機能することが実証されれば、ロボットによる運転は人間よりも優れている可能性があります。しかし、自律走行車が受け入れられるには、ほぼ完璧に動作することが必要不可欠でしょう。
一方、CESでは、自律走行車の概念は広げられ、陸・海・空を移動する乗り物にまで及んでいます。イベントでは、現在、空港で活躍しているOttonomy社の配送ロボットを見ることができ、最新モデル(Yeti)は、荷下ろしを行うことができるといいます。
また、イスラエルのスタートアップであるCarteav社は、管理された居住環境内で動作する自律走行型ゴルフカートを開発しました。