ムスリム観光客に攻めのPR 1番人気は「神戸モスク」

ムスリム旅行者向けのガイドブック「Muslim Friendly Travel KOBE」

ムスリム観光客が困る、ハラルフードやお祈り情報を

日本アセアンセンターのウェブサイトには、ムスリム観光客の困りごととして「食材に豚肉やアルコールが含まれているものはタブーなので、心配で注文できない」や「インドネシアではどのビルにも礼拝用の部屋があるが、日本にはなくて困った」など、ハラルフード対応やお祈りについての悩みが紹介されている。

神戸観光局によるアンケート調査でも、神戸市の新しいガイドブックでは、食事や買い物にまつわるハラル情報や礼拝環境について知りたいというニーズを把握。また、神戸グルメでムスリムの人たちが興味あるのは、神戸ビーフやたこ焼き(明石焼)、神戸スイーツであることが分かった。

ムスリム観光客向けのガイドブックでは、ハラルフードを分かりやすく紹介しているムスリム観光客向けのガイドブックでは、ハラルフードを分かりやすく紹介している

神戸には、現地在住のムスリムが利用するハラル食材店や料理店が点在している。ガイドブックでは、インバウンド観光客に人気な日本食のほか、インバウンド観光客に人気の「神戸ビーフ」をハラルで提供するレストランや、ムスリムの人が営むハラルレストランを紹介。豚肉やアルコールなどの使用有無についてピクトグラムで分かりやすく示した。また、市内の礼拝スペースを4カ所掲載した。

神戸にウェルカム 海側エリアに礼拝所を新設 

ガイドブック制作をきっかけに、人気な海側エリアに礼拝スペースが少ないことが分かり、神戸観光局が働きかけ、中突堤中央ターミナル「かもめりあ」にイスラム教徒向けの礼拝所を設置した。

また、今回のターゲットであるインドネシアやマレーシアの人たちは個人旅行でも、家族や親戚など10人以上で移動する傾向にあるという。ガイドブックの表紙をめくると、見開きで「Welcome to KOBE」と大きく書かれ、羽田空港や東京駅、新大阪駅、京都駅などからのアクセス情報が記されている。

関西圏ではインバウンド人気の京都、大阪に比べると、まだまだ誘客の余地がある神戸。日本に興味をもつ人たちを取り込むため、アクセスの良さと魅力をPRしたい狙いだ。実際に2月にインドネシアで開かれる一般消費者向けの観光博で、職員らがガイドブックを配布し、現地の人たちに直接神戸の魅力を売り込む予定だ。

渡辺観光部長は「神戸は海と山が近く自然豊かでありながら、ショッピングも楽しめるバランスのとれた場所。今回のガイドブック制作にとどまらず、神戸のホテルのムスリム対応などの機運を醸成をして、ムスリム観光客の受け入れを神戸全体で進めていきたい」と語る。

ムスリム目線での観光は、日本で暮らす私たちにとっても新しい魅力を発見できるかもしれない。

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文=督あかり

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