欧州

2023.01.28

英下院の環境監査委員会、化石燃料からの脱却を急ぐよう提言

Getty Images

英国政府は、化石燃料からの脱却をできるだけ早く実現するため、「戦争さながらに」挙国一致で取り組むよう迫られている。

英下院の環境監査委員会(EAC:Environmental Audit committee)は、2023年1月5日に発表した最新リポートで、英国は、エネルギー価格の適正化、安定供給、持続可能性という、目前に立ちはだかる危機に早急に立ち向かう必要があると警告した。

超党派からなるこの委員会によれば、英国は依然、エネルギー需要の78%を化石燃料に依存している。また、英国政府のエネルギー安全保障戦略には「大きな欠陥」があるため、「戦争さながらに」国を挙げて取り組み、家庭の光熱費と温室効果ガス排出量を減らし、輸入化石燃料への依存を下げる必要がある、と委員会は呼びかけている。

同委員会は特に、2025年までに省エネ設備を100万件以上に導入するよう求めるとともに、2020年代の終わりまでに、年間250万世帯に導入するという野心的な目標も掲げている。

英国には、住宅のエネルギー効率をAからGでランク付けした「省エネルギー性能証書(EPC)」という基準がある。リポートによると、イングランドだけを見ても、EPCの定める効率基準に満たないCランク以下の家庭が1300万世帯(59%)以上もある。

英国では、省エネ設備の導入が2012年に230万件とピークに達したものの、2021年に省エネ効果の高い設備が導入された数は10万件に満たなかった。

同委員会はまた、太陽光パネルを新築住宅に標準装備することを、住宅開発業者に義務づけるべきだと述べた。他にも、短期的には、速やかに本格展開できる陸上風力発電所の可能性に、長期的には、国のエネルギー安定供給につながるベースロード電源を支える潮力発電の可能性に、より目を向けるべきだと訴えた。

政府に対しては、新たな石油・ガス開発のライセンス・ラウンドについて、終了期日を明確に定めるよう求めた。石油セクターならびにガスセクターに対しては、石油とガスの採掘時に排出される二酸化炭素の削減に向けて、より速やかに措置を講じるよう呼びかけた。
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翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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