薬物依存症との戦いに野菜中心の食事が有効という研究結果

栄養豊富な食事はすべての人にとって重要だが、薬物依存に悩む人たちには特に有効だ(Getty Images)

本研究の治療群は全員が自然食品と野菜中心の食事に従うことが求められていたが、マイナスの結果は1つとして示されなかった。サッドらは、食事に基づく治療計画が薬物使用障害に有効な影響を与える時期と方法の研究努力がさらに進められることを期待している。

「貧富に関係なく利用できる簡単で再現性のある明確な方法によって、人々が主体的な人生を送るのを手助けする一員になりたいのです」とサッドはいう。「まず栄養がメンタルヘルスに果たす役割を真剣に受け止め、それからその価値を現在の回復モデルに正確に当てはめていけることを願っています」

サッドは、栄養に関するよくある誤解についても言及した。たとえば、食事に関して完璧でないことは失敗であるという思い込みだ。重要なのは1日単位の食事内容ではなく、長期的な食習慣の質とそれが当てはまる環境であることをサッドは強調した。

野菜中心の食事と、それがうつ病に与えうる影響について尋ねられたサッドは、両者の相関を示唆する研究はいくつかあるが、相関関係と因果関係は同じではないことを理解することが大切だと指摘した。個々の食物や栄養に注目するよりも、食習慣全体と状況をよく考えることが重要だと同氏は力説した。

「野菜中心の食事とうつ病に関していわれている相関は、ブラジルで行われた横断研究に基づくもので、少量の動物製品を食べるセミベジタリアンを対象にしています」とサッドはいう。「この研究で最大の問題は、食事とうつ病のどちらが先だったかを区別していないことです。うつ病にかかった人が、その後、野菜中心の食事を採用しやすいということかもしれません」

食事とうつ病のどちらが先だったかを考慮した別の研究は、メンタルヘルスの悪化が野菜中心の食事を採用する前に起きたケースが多かったことを示しているとサッドは指摘した。そしてヴィーガン、ベジタリアン、セミベジタリアンをそれぞれ分析したメタ分析では、ヴィーガンとベジタリアンの食事とうつ病との間に有意な相関は見られなかった。

心身の健康に悩む人たちに対して、身体的健康のために食物繊維から始めることをサッドは推奨している。「繊維は健康に役立つことを誰もが認める栄養素の1つであり、これはほとんどの人にとって、食事に繊維を多く含めれば含めるほど、健康に良い影響を与えることを意味しています」

心の健康に関しては、サポートを求めることだ。「支援団体やセラピスト、精神科医など、次にとるべきステップを見つける手助けをしてくれる人を探すことが大切です。そして覚えておいてください。あなたは痛みを感じるから壊れているのではなく、あなたが完全だから痛みを感じるのです」

忍耐強く、好奇心を持ち、自分に優しく、健康と生活の安心を改善する努力を怠らないこともサッドは勧めている。

「健康問題に悩むことがどんなものか私は知っているし、どれほどつらいかも知っています」とサッドはいう。「それは価値あることなのです。あなたにはそれだけの価値がある。私は応援しています」

forbes.com 原文

翻訳=高橋信夫

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