Apple Music、Apple TV+など独自のコンテンツプラットフォームに続々と追加されている「空間オーディオ」に対応するコンテンツの再生に、新しいHomePodのサウンドは最適化されている印象だ
アップルが新しいHomePodの音質を真面目に磨き上げたことを高く評価したい。HomePodシリーズは初代機、そしてHomePod miniともにITテクノロジーのライバルが手がけるスマートスピーカーとは一線を画す高音質を備えていると筆者は思う。音質的なライバルはむしろBOSE(ボーズ)やSonos(ソノス)、Sony(ソニー)のようなオーディオのエキスパートが発売してきたスマートスピーカーだ。
振り返れば、アップルはデジタル時代の音楽文化の発展にも貢献してきた「オーディオメーカー」だ。最近はAirPodsシリーズや空間オーディオの先進性に話題が集まりがちだが、アップルのマルチコンテンツプレイヤー「iPod」や、CDのデータを簡単にPCに取り込めるメディアプレイヤーソフト「iTunes」は多くの音楽ファンに愛されてきた。HomePodは、アップルがオーディオメーカーとして本気でつくったスマートスピーカーなのだ。
コンピュテーショナルオーディオがいつでも「いい音」に自動調整
高音質なスピーカーを音楽ファンに届けたいという思いの他にも、アップルが「大きい方のHomePod」を復活させた理由は2つあると筆者は考える。1つはアップルの「空間オーディオ」をベストな環境で楽しめるデバイスを充実させるためだろう。
Apple Music、Apple TV+にはドルビーアトモスによる空間オーディオに対応するコンテンツが続々と増えている。HomePodが1台あれば、リビングルームなど開けた視聴環境で空間オーディオをのびのびと楽しめる。弟機であるHomePod miniには単体で空間オーディオを楽しめる機能はない。
HomePodには、スピーカーを設置した場所の音響特性を自動解析して、環境に合わせてサウンドを調整する「室内検知機能」のほか、再生中のコンテンツをリアルタイムに解析してチューニングを最適化する機能もある。ユーザーはスピーカーを置くだけで、クリエーターが狙う最良のコンテンツ体験を自分の部屋に再現できる。面倒な設定は不要。アップルがHomePodの特徴として掲げる、シリコンやシステムセンサーの先進性を駆使しながら実現する「コンピュテーショナルオーディオ」の真価がここにある。
内蔵マイクを活用する「室内検知機能」により、スピーカーで再生中のサウンドをルームアコースティックに最適化。システムICチップや各種センサーが実現するコンピュテーショナルオーディオの高いパフォーマンスにより、常時最良のサウンドに調整する