宇宙

2023.01.26

「キリン」サイズの小惑星、1月27日地球に大接近

発見されたばかりの地球近傍小惑星2023 BUは今週地球の上空3500mを通過する。画像は地球に接近する小惑星の想像図(Getty Images)

キリンの背丈ほどの大きさの小惑星が先週発見され、1月26日(日本時間27日)に地球のすぐそばを通過する。「緑の彗星」が輝く位置よりはるかに近くだ。

地球近傍小惑星2023 BU(NASAのジェット推進研究所によると大きさはおよそ3.8~8.5m)は地球を脅かすことはないが(有名な2013年のチェリャビンスク隕石の半分ほどの大きさ)、南アフリカ上空に位置する複数の静止衛星の軌道内を通過する見込みだ。

そうなればかなりのニアミス(記録上4番目の近さ)となる。今回の接近は、最接近のわずか5日前に発覚した。

ほとんどの小惑星は月より遠くを通過するが、これは「はるか」に近い。

協定世界時1月26日21時17分(日本時間1月27日6時17分)、小惑星2023 BUは地球の中心から9877km以内に到達する。地表からわずか3506kmの上空だ。

そこは人工衛星や国際宇宙ステーション(ISS)が周回している上空400kmの低地球軌道よりは遠いが、上空3万6000kmを周回する静止衛星よりずっと近い。

発見される小惑星のほとんどは月の軌道より遠くを通過するが、2023 BUは地球・月間のわずか3%の距離までくる。

あまりに近いので、大型望遠鏡があれば簡単に見つけられる。


接近通過の模様は、イタリア、チェッカーノにある14インチと17インチの強力な2台の望遠鏡、The Virtual Telescope Projectによってリアルタイム中継される。宇宙物理学者のジャンルカ・マシがYouTube(ユーチューブ)でライブ配信のホストを担当し、望遠鏡を通して2023 BUを観察する。中継は19時15分 UTC(日本時間27日4時15分)に始まる。

小惑星は非常に小さく、最大で11.3等級の明るさしかないため肉眼で見ることはできない。2023 BUを見られるのは大きな望遠鏡を持っている人だけだ。

2023 BUはアポロ群小惑星の1つとなる。アポロ群は代表的な小惑星1862アポロにちなんで名づけられた小惑星群だ。それらの小惑星は地球が太陽を周回する軌道よりも大きい軌道を持ち、その経路は地球の経路と交差する。2023 BUは太陽を425日で周回し、経路は地球が太陽を回る経路としばしば交差する。

この小惑星は、1月5日にアマチュア天文学者のゲナディ・ボリゾフがクリミア天体物理学天文台で発見した。ボリゾフは2I/Brosov(ボリゾフ彗星)の発見者として知られている。星間空間から太陽系にやってきた彗星として初めての発見だった。

2023 BUが地球の比較的近傍を次に通過するのは2036年12月6日だが、そのときの距離は月の軌道よりはるか遠い。

2023 BUは「地球近傍天体(NEO)」と呼ばれ、その軌道は太陽から1億9500万km以内にある。しかし、潜在的に危険な小惑星(PHA)には分類されていない。PHAは、地球に接近するだけでなく、衝突した場合に著しい地域被害を与えるほど大きいNEOに限ってそう呼ばれる。

最大8mほどの大きさの2023 BUが地球に衝突したとしても、分解して破片の雲となって上空に飛び、大きい破片のいくつかが地表に落ちるかもしれない程度で大きな被害はない。それでも近くにいる人は大きな音を聞くことになるだろう。

現在、2023 BUは、視覚的におおぐま座の中、ZTF彗星(C/2022 E3)の比較的近くに見える。ZTF彗星は地球に近づくにつれ夜空で輝いていく。しかし最接近する2月2日でも、ZTF彗星(太陽を5万年で周回する)が地球から4200万km以内に近づくことはない。

澄み切った空と大きな瞳に願いを込めて。

forbes.com 原文

翻訳=高橋信夫

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