CASE1:エヴィクサー代表取締役社長CEO 瀧川淳
瀧川 淳 エヴィクサー代表取締役社長CEO
成澤の言葉「なんで儲からないことを一生懸命やっているの?」
瀧川:成澤さんとのきっかけは、視覚・聴覚障がい者の方が「普通の映画館」で映画を楽しむための私たちのアプリを実際に使っていただいていたことです。お会いした第一声は「なんでこんな儲らないことを?」でした。私は福祉事業を目指していたわけではなく音の技術を突き詰めたかったんです。それが偶然、人の役に立った。偶然、技術が世に拡がったのは障がいを持つ方の強いウォンツがあったから。
彼らこそがアーリーアダプターで、いろいろなことを教えてくれる存在になんです。儲かる儲らないではなく、不便な世の中を変えるという熱もないフラットだった私に「そういう人がやらないと広がらない」という後押しの言葉になりました。
エヴィクサーは、音を深掘りすることをテーマに、非可聴音でスマホを操作する技術や、目や耳の不自由な障がい者の人が映画を楽しめるアプリなど、技術力を活かした実用的なアプリケーションを提供している。
CASE2:イノP / 宮川洋蘭 代表取締役社長面倒見が良くて、人使いが荒い先輩
宮川将人 イノP/宮川洋蘭代表取締役社長
成澤の言葉「面倒見が良くて、人使いが荒い先輩」
宮川:本業の洋蘭栽培や鳥獣対策の活動のほかに地域の仲間たちとソーシャルベンチャーに注力していますが、人とのつながりが増えていくなかで成澤さんに言われたのが「面倒見が良くて人使いが荒い先輩」という言葉。優しい先輩はいくらでもいますが、自分を外の世界に引っ張り出してくれるのはそんな愛を持った荒っぽい人だったりする。地元熊本の農村をイノベーションすべく若者を巻き込んで活動している自分を見つめ直すしびれる言葉です。
同時に「弱点があったほうが魅力が出るよ」とも。もっと人が関わってくれる強みに変わるという意味ですが、何事も前向きを自負する私には新しい気づきになりました。
イノシシプロジェクト=通称「イノP」を社名に、増え続けるイノシシから農家を守る活動はTVにも採り上げられた。肉は加工製品として町おこしに役立て、収益に結びつく事業に成長。
CASE3:イノカCOO 竹内四季
竹内四季 イノカCOO
成澤の言葉「大丈夫。そしてリスペクトしよう」
竹内:私たちはまだ若い会社です。お互いに求めることの基準が違ったからか、ずっとピリピリした雰囲気がありました。しかし、成澤さんにアドバイスをもらうようになってから少しずつ変化していきました。最も強く響いた言葉は「大丈夫」でした。ご自身が障がいを持たれながらも、信じられないほどの明るさで話される多くの言葉によって、次第に安心感が生まれたのです。
その後、自己分析・診断ツールの導入すすめてもらい、社員それぞれの個性を可視化しました。「相手のどこをリスペクトするかを見る」の成澤さんの言葉通り、社員の個性の発見と、他者を尊重するカルチャーづくりに発展したのです。
世界初となるサンゴの真冬の人工産卵に成功したイノカ。独自の環境移送技術で、珊瑚の海中環境を水槽で再現する。その実績と取り組みから環境問題に取り組む多くの企業から注目され提携も進む。
成澤俊輔◎1985年、佐賀県生まれ。大学在籍時から経営コンサルティング会社での業務を経験し2009年に独立。「世界一明るい障がい者」をキャッチフレーズに講演活動、コンサルティング業務に従事。16年より、障がい者支援を行うNPO法人FDA理事長。