マツダは1月13日のブリュッセル・モーター・ショーで、SUVのMX-30にロータリーエンジンを搭載した新型車「MX-30 R-EV」を発表した。それは、17.8kWhのバッテリーと、830ccのロータリーエンジンの役割を持つ発電機を組み合わせたプラグイン・ハイブリッド・システムを搭載した新型車「MX-30 R-EV」だ。
マツダ MX-30 R-EV
そう、かつて70年代後半から2021年までRX-7やRX-8を販売し、1991年のル・マン24時間レースに優勝した万能のロータリーエンジンは、発電機として復活することになった。
つまり、これまで車輪を駆動していたロータリーが、これからはバッテリーを充電するために使われるということだ。そのおかげで、180kmという短い航続距離のせいで海外でひんしゅくを買った現行型MX-30 EV仕様(電気自動車)がよりも、「MX-30 R-EV」は2.5倍以上の距離を走行できるようだ。
マツダにとって、ロータリーとロードスターは魂のような存在なので、幹部は両方ともできる限り継続できるよう最大限の努力を果たしているようだ。しかし、ロータリーエンジンはコンパクトでパワーがしっかりと出るものの、排気ガスや燃費などが現在の規制には合わないため、ロータリーの再定義が必要だった。そしてそれは、発電機という役割だ。
ロータリーエンジンは、1967年、近未来的なコスモスポーツクーペに搭載されたのが始まり。その後、RX-2、RX-3、RX-5、ルーチェ、RX-7にツインローターエンジンが搭載された。1990年のユーノス・コスモクーペ、RX-8に搭載され、後者は2012年に生産を終了している。1991年のル・マン24時間レースでは、マツダを象徴する3ローターの787Bが日本車として初めて優勝し、歴史にその名を刻んだ。
しかし、ロータリーのスポーツカーに憧れてマツダに入社した何百人ものエンジニアにとって、ロータリーが発電機としてカムバックすることは、ハンバーガーのビーフを豆腐に変えてもハンバーガーと呼ぶようなものだろう。
とはいえ、心の奥底で、マツダがまだロータリーのスポーツカーを作りたいと思っていることは確かだ。が、そのようなモデルは、2015年のRXビジョン・コンセプトのようなロータリープロトタイプが発表されて、イタリアなどデザイン賞を受賞しても、まだ遠い先の話である。
マツダ RXビジョン
それでも、マツダのパワートレイン開発部は、「ロータリーエンジンを搭載したスポーツカーはマツダのエンジニアの夢だ」という。ただ、その夢は、「電動化モデルの展開」という目標を達成してから考えよう、というスタンスだそうだ。