21年1月から22年10月までの間に、エジソン・アライアンスのパートナーは90カ国で250以上のイニシアチブを活性化させ、4億5400万人の生活にポジティブな影響をもたらしました。これは「2025年までに10億人」という目標の45%に到達したことを意味します。
──官民を問わず、デジタル格差の解消に向けた取り組みは加速しているのですね。
100%、そうです。デジタル格差の解消は複雑な課題ではありますが、目標人数の45%に達した今、25年までに10億人という目標を達成できると私たちは信じています。
さらに興味深いことに、デジタル格差解消への取り組みは国という枠組みを超えて、よりコレクティブな形で展開されています。過去にない、組織間の新たなパートナーシップが生まれているのです。
パンデミック下におけるデジタル・トランスフォーメーション(DX)はある意味、(企業や社会にとって)大きな自信になったと思います。というのも、パンデミック以前から人々はテクノロジーの可能性について語り続けていましたが、実際に大規模なトランスフォーメーションを経験した企業はごくわずかでした。
そんななか、テクノロジーによってまったく新しい方法や異なる手段を生み出すことができると認識できた。これは、パンデミックがもたらしたデジタル変革におけるインパクトの一つです。
パンデミックがもたらした2つめのインパクトは、企業がより(DXの)目的を明確化するようになったことです。パンデミック以前は、企業では社内のイノベーションチームやDXチームがさまざまな可能性を検討し、「これができます、あれができます」と、数多くのプレゼンテーションを実施していたはずです。
しかし、パンデミックが発生し、従来の活動の多くは脇に追いやられました。そして業務をオンライン化する段階を経たのち、企業は「すべての技術や(ビジネスの)機会を知る必要はない」と気づき、DXについてより的を射た議論を行うようになりました。「今後6カ月から1年以内にできる具体的なことで、当社の存続や成長を後押ししてくれるものは何か」といった具合に、議論の焦点を絞るようになったのです。
世界は今、「2050年までにネットゼロを達成する」という共通目標を掲げています。企業はテクノロジーによって変化する競争環境に対応するだけでなく、どのように自社独自の価値提案を行うべきかを考えなければならないのです。
Derek O'Halloran(デレク・オハロラン)◎コロンビア大学国際公共政策大学院国際金融・経済政策学科MPA(行政学修士)、エジンバラ大学MA(哲学)、世界経済フォーラム「グローバルリーダーシップ・フェロー・プログラム」修了。極東、米国、欧州のIT企業でさまざまな業務に携わったのち現職。共著に『Beyond Cybersecurity: Protecting Your Digital Business』(2015年)がある。