昆虫食が食糧危機を救う?

昆虫食は高タンパクな代替栄養源として人間にも家畜にも有効だ(Getty Images)

食用の昆虫を養殖して人間や家畜に食べさせることで、食糧安全保障を改善し、途上国経済を支援、現状の動物飼料を置き換えられる可能性がある。

ミールワームのピザやバッタの炒めもの、コオロギのカレー、タランチュラの揚げ物などを食べることができるだろうか? 

これらは家畜と人間のための主要なタンパク質源として、2つの研究チームが提案するものだ。

ヴァーヘニンゲン大学名誉教授で『Journal of Insects as Food and Feed』の編集長である昆虫学者アーノルド・ファン・ハイスと、食物としての昆虫に関する書籍(料理本を含む)の著者または共著者でトリノ大学で動物・獣医学教授を務める食品科学者のローラ・ガスコは、家畜やその他の食用動物、たとえば養殖魚などの高タンパク質飼料として、昆虫を利用することに関する揺るぎない主張が可能であることを議論している(訳者注:本稿を通じて、不正確ではあるが読みやすさのために、あらゆる食用節足動物を「昆虫」とする)。

食肉のために家畜を育てることは、驚くほど投資利益率が低い。ファン・ホイス名誉教授とガスコ教授は、家畜飼料の大半が魚粉と大豆ミールから作られていることを挙げている。2人はさらに、全農地の70~80%が直接あるいは間接的に、食肉生産に特化しているが、その見返りは、人類が消費する全カロリーのわずか18%、全タンパク質の25%にすぎないことも指摘している。

しかしそれに対する有効な解決策がある。ファン・ホイス名誉教授とガスコ教授は大がかりな調査に基づき、従来の家畜飼料を昆虫由来の飼料で置き換え、現在家畜のエサを育てるために使っている土地の大部分を解放することを提案している。

昆虫を家畜飼料として使うことで、食糧生産の持続性を改善できる。なぜなら昆虫は価値の低い果物、野菜などの有機廃棄物や肥料を、高品質の家畜飼料に変えることができるからだ。そして「入ったものは出ていく」ものだが、昆虫は糞を作り出すが、それは植物にとって最高の肥料になる。



食糧として昆虫は、動物のための価値ある栄養源でもあり、多くの潜在的栄養効果を含んでいる。ベジタリアンやヴィーガンの増加にもかかわらず、世界の食肉需要は現在も加速しており、人々が食べたい動物を生産する、より効率的な方法を開発することは極めて重要だ。そして、地球の温暖化が進むにつれて、食用昆虫の養殖はより現実的になり、地域の食糧生産ネットワークを手助けするだろう。

Insect Atlasに掲載されているインフォグラフィックス(Insect Atlas 2020: ON INSECTS, AGRICULTURE AND THE WORLD / Heinrich-Böll-Stiftung / VIA A CREATIVE COMMONS LICENSE)
Insect Atlasに掲載されているインフォグラフィックス(Insect Atlas 2020: ON INSECTS, AGRICULTURE AND THE WORLD / Heinrich-Böll-Stiftung / VIA A CREATIVE COMMONS LICENSE)
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翻訳=髙橋信夫

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