卵を産まない「オス」のひよこが生まれたら、どうなる?

「有機卵」とは、非常に厳しい有機畜産物の日本農林規格を満たした卵のことである。規格では、餌や飼育環境、健康管理の方法など、多岐にわたるルールが定められている。
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よく誤解されているが、「平飼い卵=有機卵」ではない。平飼いというのは飼育方法の1つで、鶏が自由に動き回れる環境で飼育することを指す。

日本ではゲージに入れて飼育する方法が一般的だが、平飼いの方が鶏にストレスを与えにくく、よいとされている。

世界で広まる有機卵



有機農業と持続可能な農業に関するドイツ連邦政府プログラムが2021年に行った調査によると、ドイツに住む人の68%が「よく有機卵を買う」か「ほとんど有機卵を買う」と答えた。日本ではまだまだ知名度の低い有機卵だが、海外ではヨーロッパを中心に広まりつつある。
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同調査で有機卵を買う理由を尋ねたところ、地域性、アニマルウェルフェア、健康、自然の4つが90%以上を占めていたそうだ。

養鶏のアニマルウェルフェアを語るうえで無視できないのが、オスのひよこの問題である。

オスのひよこはどうなるのか

メスのひよこは育てられ、卵を産むことになるが、オスのひよこはどうなるのだろうか。

オスのひよこは卵を産むことができないため、一般的には殺処分されてしまうのが現状だ。なんとその数、世界中で年間60億羽にもなる。

日本だけでも、年間1億羽ほどのオスのひよこが殺処分されている。

ドイツの新技術



ドイツは、オスのひよこの殺処分を防ぐために、世界で最も早く産まれる前の性別鑑定に取り組み始めた。卵にレーザーを当てることで、産まれるひよこの性別が判断できる技術も開発されている。

また、世界で初めてオスのひよこを殺すことを禁止する法律も定めた。

しかし、レーザーを当てて性別が分かっても、結局殺す時間を早めているだけで根本的な解決にはなっていないという声もある。

世界で強化される規制

2016年、アメリカで流通している卵の95%を生産する鶏卵生産者団体が、2020年までにオスの雛の殺処分廃止を目標にすると発表した。この目標は達成されなかったが、殺処分をなくす取り組みには今後も積極的に取り組んでいくようだ。

2021年、フランスのジュリアン・ドノルマンディー農相は、オスのひよこの殺処分を2022年から禁止すると発表した。

イタリアも同様に、オスのひよこの殺処分を排除するために取り組むことを約束している。
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文=エシカルな暮らし編集部

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