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2023.01.12

ジェネリック医薬品の価格破壊に挑むオンライン薬局MCCPDC

Getty Images

米著名投資家で富豪のマーク・キューバンが立ち上げたオンライン薬局「マーク・キューバン・コスト・プラス・ドラッグス・カンパニー(MCCPDC)」が、再び話題となっている。ジェネリック医薬品(後発薬)分野で着実な前進を続けているのだ。MCCPDCは顧客基盤が拡大して150万人を超え、ジェネリック医薬品の価格設定に大きな破壊的革新をもたらす存在となりつつある。
 
MCCPDCは、医薬品をメーカーから直接買い付け、中間流通業者を通さないことで、大幅な値引き価格を実現している。同社はまもなく、ジェネリック医薬品の製造を開始する予定だ。さらには、バイオ医薬品のジェネリックである「バイオシミラー(バイオ後続品)」 の製造にも着手する可能性もある。現在、テキサス州ダラス近郊で、広さ約2040平方メートル の工場を建設中だ。
 
MCCPDCは、2022年1月にオンライン薬局を開設した。これは、薬剤給付管理(PBM、処方薬の適正管理プログラム)事業の立ち上げからわずか2カ月後のことだった 。MCCPDCはそれまで1年以上にわたり、医薬品卸売会社として登録していたが、当初の取り扱い品目はひと握りだった。しかしいまでは、350品目を超えるジェネリック医薬品を割引価格で販売している。
 
MCCPDCで消費者が購入する際、医薬品の価格には、付加利益15%、調剤費3ドル、送料5ドルが含まれている。ウェブサイトではすべてが公開されており、購入可能な医薬品、購入価格、付加利益率が示されている。調剤するのは、MCCPDCと提携するB2B特化型オンライン薬局「トゥルーピル・ファーマシー(Truepill pharmacy) 」だ。
 
いまのところ、MCCPDCで販売されているのはジェネリック医薬品のみで、ブランド医薬品は取り扱っていない。医薬品コストの圧倒的多数を占めているのはブランド医薬品であるため、MCCPDCが、医薬品の全支出に実質的な違いを与えているわけではない。しかしキューバンは、MCCPDCでもいずれはブランド医薬品の取り扱いを始めたい意向を示している。
 
MCCPDCはさらに、インスリンの販売と製造も検討中だ。現在、無保険者がインスリンのバイアル製剤(注射剤)を購入する場合、1本95ドルもする。MCCPDCは、インスリンのバイアル製剤12本(90日分)を170ドルで販売したい考えだ。
 
ただし、MCCPDCでインスリンの取り扱いが始まるのはしばらく先になるかもしれない。インスリンはバイオ医薬品であり、後続品とその製造に関して、一定の課題に直面する。MCCPDCは、バイオシミラー版インスリンの技術導入を行う可能性がある。インスリン製造に踏み切るとなれば、そのプロセスが、複雑でお金がかかるものになるのは間違いないだろう。
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翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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