この2週間という検討期間が過ぎたあとでも、「追加する予定については、それが本当に必要かを十分に吟味してほしい」と、ショッピファイの最高執行責任者(COO)で製品担当バイスプレジデントのカズ・ネジャティアン(Kaz Nejatian) は、3日早朝に送信したメールで従業員に伝えた。さらに、復活させる場合も、本当に不可欠なミーティングに限るよう促した。
「従業員がショッピファイに入社したのは、何かをつくるためだ。最高にすごいものをつくるためのはずだ。自ら手がけたものがリリースされるのを目の当たりにし、『わあ、自分はこれをやり遂げたんだ』と言える充実感を手にするためだ。ミーティングは、そこに至る過程で生じるバグだ」と、ネジャティアンは断じた。
新たな方針の下では、毎週水曜日を「ノー・ミーティングデー」とするルールが強化されたほか、大人数のミーティングについては、毎週木曜日に、決められた6時間のブロック内にでしか開催できないと定められた。
ネジャティアンはこれらの施策について、「ショッピファイをリファクタリング」する取り組みの一環だと説明している。リファクタリングとは、外部から見た挙動を変えずにソースコードの内部構造を改善する作業を指すソフトウェア用語だ。
グローバルなEコマース企業であるショッピファイは、新しい年を迎えるにあたり、業務をより効率化する計画を立てている。ネジャティアンの従業員宛てメールには、販売業者のオンライン・ショッピングサイト立ち上げ支援を主な事業とするショッピファイが、商品配送状況の更新などのペースを上げ、年単位から四半期単位の計画サイクルに移行するための計画の概要が示されている。
「我々は事業運営の質の向上を図りたいと考えており、この方針はその考えを反映したものだ」とネジャティアンは述べている。特にこの先の1年については、景気が後退局面に入るとの予想が大勢を占めるなかで、「当社の顧客は自らのリソースを使うことに非常に慎重になっている」と指摘した。
ショッピファイは、2022年10月 に発表した直近の四半期決算でアナリスト予想を上回る業績を報告したが、それに先立つ同年7月には、従業員を削減する方針を明らかにし、株価も2022年の1年間で75%近く急落した 。その背景には、インフレ圧力のなかで消費の先行きに対する不安が高まったほか、消費者がオンラインから 対面販売での買い物に回帰したという事情がある。