従業員のミーティングを極力減らす、ショッピファイの新方針


ミーティング削減というショッピファイの新たな方針は、現在の状況のなかで、他の企業も採用しているアプローチの一つだ。生産性に関する懸念が高まり、燃え尽き症候群やメンタルヘルスに関する問題の発生件数が増加し、コロナ禍のさなかに生まれた30分間のZoom会議といった習慣が残るなかで、各社はさまざまな取り組みを進めている。

ソフトウェアプラットフォームのGitHub(ギットハブ) は、年に一度の「ミーティング・クリーンアップ」デーを設けている。定期開催ミーティングのうち本当に必要なものがどれかを検証し、リセットする日だ。Asana(アサナ) も2022年の春、その名も「会議に対する『最後の審判』 」という実験的な試みを行った。従業員がすべてのミーティングの予定をいったん取り消し、本当に価値があると判断したものだけをスケジュールに戻すようにしたのだ。

スラックにも、社内の会議をすべてキャンセルし、通知をオフにする「フォーカス・フライデー」 があるほか、同社の幹部は「スケジュール破産整理」を宣言し、現行のミーティング予定を削除し、見極める慣行を実施している。

ミーティング削減に向けた取り組みをさらに徹底したいと考えるショッピファイは、50人以上が集まる「全員参加」型の会議は、毎週木曜日の決められた6時間のブロックでのみ開催可能とし、1週間に1度以上の頻度では開催できないと定めた。加えて、水曜日をノー・ミーティングデーとする方針をどれだけ順守しているか、管理職の各人の実績をチェックするという。

さらに、水曜日にミーティングを設定しようとした者には考え直すよう警告するボットを作成し、今後は不要なミーティングをキャンセルし、大人数のスラックグループを退出するよう積極的に働きかける計画もあるという。

1対1のミーティングについては、今後も従業員のスケジュールから削除されることはないが、水曜日に設定することは避けるべきだと、ショッピファイでは述べている。同社によると、これらの新たな方針により、従業員のスケジュールから削除される予定の数は総計1万件前後になるという。

ネジャティアンは、従業員たちがこの方針に従うだろうと考えているが、そうならなかった場合、さらにさまざまな施策を実行に移す用意があるとしている。その一つが、管理職の各人にミーティング時間の「予算枠」を分配し、この枠を超えてミーティングを開催することを禁じるというものだ。もう一つは、従業員のビデオ会議画面の右上隅にカウンターを設置し、ミーティングに参加者が費やしている時間のコストやドル換算の金額を目で見える形で示す、というアイデアだ。

「新たな方針が順守されていないと判明した場合には、これらの施策の一部を実行に移す可能性がある。だが、私は非常に楽観的だ」とネジャティアンは述べる。

「我々が持つ最も重要なリソースは、会社に貢献してくれる個々の従業員の時間だ。企業は、実際に現場で働く者よりも、管理する側の時間枠に従ってつくられているが、これは不適切なあり方だ」とネジャティアンは述べる。「強制的に変化を促すことが重要だと我々は考えている。そうすることで、本当の意味での実力がつくはずだ」

forbes.com 原文

翻訳=長谷睦/ガリレオ

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