上海の医師がコロナ患者の治療に何を使っているかは不明だが、中国政府はコロナ患者の治療にPfizer(ファイザー)製のカプセル製剤Paxlovid(パクスロビド)の輸入を承認している。
また、近隣の都市ではマスク、コロナ検査薬、アスピリン、漢方薬のみからなるヘルスケアキットが配布されたとの情報もある。
一方、ヨーロッパはイタリア政府のように中国からの入国者にコロナ検査を義務づけることはしないと述べた。これは、冬にまた起こるコロナの波を食い止めようとするイタリアの努力をほぼ無にするものだ。少なくともある地方では「アジア人を抱きしめる日」が最初のアルファ変種のコロナの大量感染を引き起こし、2020年3月初旬にイタリアで14%の死亡率を記録し、混雑する病院を世界に見せつけた。
WHOの局長は、中国人旅行者を入国させる前に検査する政策に理解を示した。テドロス・ゲブレイェソスは、2020年であっても渡航制限には常に反対していた。
上海や周辺の経済・金融の中心地が新型コロナで打撃を受ければ、習近平はゼロコロナ政策を復活させるのではという期待もある。一方、中国共産党がヘリコプターマネーを経済に投入することに賭けようという人もいる。どちらの選択肢ももっともな賭けではあるが、中国からの刺激策はウォール街が北京から期待するようなものにはならないと思われる。
中国の投資家は、病院が患者で溢れかえっているというソーシャルメディア上のニュース記事を鵜呑みにしない方が賢明だ。これはSARS2、インフルエンザ、自然災害など、国民が感染症に見舞われたときに、世界中の多くの国でよく見られる光景である。
中国の投資家は依然として地政学的リスクの高まりに対処しなければならないが、上海での発生はゼロコロナの逆風の延長線上にあると考えるべきだろう。中国はこれを乗り切れるだろう。パンデミックと貿易戦争で悪い数年間を過ごした後に、市場は米国にすでに追いつきつつある。
(forbes.com 原文)