青山学院大学南部ゼミAチームは、コーヒーのカスをエサに混ぜて、牛のゲップのメタンガスを削減するというアイデアを発表しました。相模原市は日本でもっともコーヒーの消費量が多い町だそうで、それを利用して温室効果ガスを削減するという、廃物利用による一石二鳥の提案です。
メタンガスの温室効果は、二酸化炭素の約25倍と言われています。牛や羊などの反芻を行う家畜からは、大量のメタンガスがゲップやオナラで排出されています。同チームの調べでは、日本の農林水産分野における温室効果ガス排出量約4747万トンのうち、約16パーセントが牛などの家畜のゲップだとのこと。とくに家畜が排出するメタンガスの約65パーセントは牛によるもので、牛1頭からは1日に約400リットルのメタンガスが排出されます。
牛のゲップは、世界的にも大きな問題とされ、牛と羊の数が人の7倍と言われるニュージーランドでは、牛や羊を飼う農家からゲップの排出量に応じた税金を徴収する、いわゆる「ゲップ税」の2025年からの導入が検討されているほどです。
そこで南部ゼミAチームは、相模原市ならではの廃棄物とこの問題を結び付けました。コーヒー豆のカスをエサに5パーセント混ぜると、体内のメタンガスを50〜70パーセント削減でき、しかも、乳の品質と出荷量の向上、乳房炎の抑制が期待されます。
同チームの計算では、相模原市にいる牛を600頭、相模原市のコーヒーチェーン店を38店舗として、二酸化炭素量換算で1年間の温室効果ガスが938トン削減できることになります。これだけの削減量を植林で得る場合と比較すると、約6257万円の節約になるということです。
ただし問題があります。牛はコーヒーが嫌いなのです。そのためコーヒーカスの加工が必要であり、またコーヒーカスの運搬時に生じる二酸化炭素量も問題になるため、産学官の連携による技術開発などが欠かせないとのことでした。
そのほかの受賞チームには、宇宙の歴史をビッグバンから学び地球の将来を考えるビッグヒストリーで長期的視点を培うという提案を行った桜美林大学(ビッグプレゼン賞)、相模原市の木材から作ったコンポスト「キエーロ」で生ゴミを土に変えて農家や森林に活用すると提案した青山学院大学キエーロチーム(審査員特別賞)、津久井産の材木でログハウスを作り観光資源にすると提案した国士舘大学チームZCC(審査員特別賞)がありました。