ソニーと東大の人工衛星「EYE」、地球や星々を撮影できる一般向けサービスも

ソニー公式ホームページより

1月3日、アメリカのフロリダ州からスペースXのファルコン9ロケットで打ち上げられたソニーの人工衛星「EYE」が衛星軌道に放出され、これまでのところ正常に機能していることがわかりました。EYEはソニー製カメラで地球や星々を撮影するためにソニーと東京大学が開発した超小型衛星です。私たちも専用の操作シミュレーターを使って、地球や星々の撮影が行えるようになります。

現在、EYEは、高度524キロメートルの軌道上にあり、地上からのコマンド送信と、動作確認のためのテレメトリデータの受信を成功させています。そこから、太陽電池パドルが予定どおり展開され、電力が確保されたことがわかりました。

これから、撮影データを地上に送信するためのXバンド衛星通信回線を確立させ、すべての機能の動作を確認した後、高い軌道へと移動させます。このとき使用される水レジストエンジンは、東大発のスタートアップPale Blueが開発した、水をプラズマ化して噴射する世界に類のないエンジンです。

EYEは、東京都港区のソニーグループ本社ビル内に新設した管制室で、ソニー、ソニーワイヤレスコミュニケーションズ、東京大学中須賀船瀬研究室、アークエッジ・スペースと共同で運用されます。

ソニーは、東京大学、JAXAとともに「STAR SPHERE」プロジェクトを推進しています。宇宙を眺めるだけでなく、宇宙を通してものごとを捉え考える「宇宙の視点」を発見し、新たな価値観や感動体験を生み出すことが、このプロジェクトの狙いです。EYEは、その一環として開発されました。そのため、今後はクリエイターやアーティストの「宇宙視点の芸術」を、さまざまな企業と共同で支援してゆくとのことです。



EYEで撮影ができる一般向けサービスには、「宇宙撮影ツアー」と「宇宙撮影プレミアム」という2タイプが予定されています。

「宇宙撮影ツアー」は、著名人や特別ゲストがお勧めの衛星軌道をツアー形式で案内してくれるというものです。宇宙旅行気分を味わいながら、好きなタイミングでカメラのシャッターを押し、静止画を撮影できます。「宇宙撮影プレミアム」は、EYEが地球を1周する95分間のうち任意の10分間、ユーザーがカメラワークを操作して自由に静止画や動画が撮影できます。

サービスの展開開始は、今年の春ごろにが予定されています。

文 = 金井哲夫

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