最新の調査によると、規制されていない仮想通貨取引所では取引の最大8割が詐欺である可能性があるというのだ。
清華大学やコーネル大学の研究者らが執筆し、全米経済研究所(NBER)から最近発表された論文によると、規制されていないTier1取引所ではいわゆる「ウォッシュトレード(仮装売買)」が平均で取引全体の53.4%、規制されていないTier2取引所では81.8%を占めると推定されるという。Tier2取引所のほとんどは2017〜18年に設立され、Tier1取引所はそれ以前に設立されている。
論文は「無規制の取引所の大半は過剰なウォッシュトレードで特徴づけられる」と指摘している。
ビットスタンプやコインベース、ジェミニといった取引所は政府の規制を受けており、こうした取引所での活動は問題視されていない。だが、論文で引用されているような無規制の取引所ではウォッシュトレードが横行しているとみられる。これは投資家にとってたいへん大きな問題だ。
ウォッシュトレードにはいくつかの点で問題がある。まず、取引高が実際よりも多いように見せかける点だ。投資家はそれに誘われて資金を投じる可能性がある。これは米国の法律でウォッシュトレードが禁止されている理由のひとつにもなっている。
NBERの論文によると、機関投資家の19%は仮想通貨に投資しているという。
さらに、ウォッシュトレードは過去に投資家の所得税回避の手段として使われた例もある。こうした税逃れも米国では違法だ。
ただ、規制されていない取引所自体が不正なことをしているのかというと、そうとも限らないという。論文では「すべてのウォッシュトレードが取引所によるものだと言うわけではない。個人がウォッシュトレードに手を染める例もあるだろう」と断っている。
論文で解説されているような、市場操作の疑いのあるウォッシュトレードに関して誰が責任を問われるべきかは、まだはっきりしない面があるようだ。
(forbes.com 原文)