戦争と地政学的緊張
ウクライナでの戦争や中国と西側諸国との緊張の高まりを受けて、各国の予算では防衛費が引き続き最優先事項になりそうだ。
こうした傾向はおそらく、ウクライナでの戦争が終わってもしばらく続くことになるだろう。各国はもはや潜在的な敵をあまり信用しないようになってきており、むしろそうした相手を撃退する能力を手に入れたいと考えるようになっている。
これはつまり、レイセオンをはじめとする防衛企業には商機が広がっているということだ。各社の株価も引き続き上昇していくに違いない。
中国リスク
中国はすでに西側企業との間で信用問題を抱えている。進出した海外企業から知的財産を盗んでいるからだ。かつて共産党一党支配のこの国を信じていた企業も、静かに、だが速やかに、自社の工場をより安全な国へ移しはじめている。
中国に関しては「ゼロコロナ政策」の失敗という問題もある。この政策は中国を含め誰の役にも立たなかったどころか、害をもたらすだけの結果になったようである。
中国はこのほか、不動産ブームとその崩壊による悪影響、さらに人口減少にも見舞われている。
これらすべてを考え合わせると、中国経済が自壊しても驚きではない。もしそうなれば、中国のリーダーである習近平は自国経済の破綻から国民の目をそらすために台湾に侵攻しようとするかもしれない。実際、こうしたやり方は昔から独裁者の常套手段だった。
中国経済の崩壊と台湾侵攻。どちらが起きても新興国市場への投資家は損失を被ることになるだろう。
くすぶる景気後退懸念
米国と欧州は2023年の大半の期間を通じて、リセッション(景気後退)入りへの警戒が続くことになりそうだ。欧州は依然としてエネルギー問題にさいなまれており、ドイツはクリーンな電源である原発を廃止する方針を維持しながら、石炭火力発電を増やすというめちゃくちゃなエネルギー政策を続けている。
欧州はリセッションに陥る可能性があるが、専門家の間では穏やかなものにとどまるとの見方が多い。
一方、米国に関しては見方にばらつきがある。データを見る限り、米景気がすぐに急激に悪化し、失業率が2桁に跳ね上がるといった事態は考えにくそうだ。
とはいえ、いつもながら状況は急速に変化し得る。引き続き気を緩めず、データを注視していきたい。
(forbes.com 原文)