吉田:それでも、シリーズAで30社くらいのVCと面談をしたときは、役員の持ち株比率について「絶対にうまくいかない」と厳しい指摘をたくさんもらいました。Thinkingsは、僕も瀧澤もひとりでは決められない比率なんです。だから、本間さんから「うちも対等な関係でやってます」と話があったときはうれしかった。
瀧澤:それ、鮮明に覚えてる。すごく共鳴したように感じました。
本間:インキュベイトファンドも代表パートナーが5人いて、意思決定はひとりではできない仕組み。僕らもファンド出資者からは「本当は誰が意思決定してるんだ」みたいなことをよく聞かれます。確かに、一般論では難しいスキームだけれども、実際にはうまくやれている。並列な関係だからこそ、言いたいことはきちんと言えるし、感情的にならずに建設的な議論ができる。
吉田:この先、まず「sonar ATS」を軸足にしながら、連携するHRサービスのマーケットプレイス「sonar store」を通じてプラットフォーム化を進めていきたい。HRテック市場は競合が多いですが、プラットフォーム化はまだどの会社もできていません。影響力の大きい求人メディアを運営する会社が、サイドビジネスとしてそれぞれで採用管理などのプロダクトをつくっているからです。彼らは競合とはなかなか連携ができない。一方、僕らは採用管理システムの専業メーカー。独立系というユニークなポジションにいるので、全方位で組むことができる。
瀧澤:長期的には、人が集まって活動するときに生じる組織の課題をいかに取り除いていくのかが大きなテーマ。いま取り組んでいる採用管理はそのためのひとつに過ぎません。テクノロジーの力で常に組織が健全でいられるようにして、世の中の生産性を上げていきたい。
本間 真彦◎インキュベイトファンド代表パートナー。ジャフコ グループ、アクセンチュア、三菱商事傘下のワークスキャピタル経て2007年に独立。10年より現職。代表的な投資先はメドレー、gumi、MonotaROなど。
瀧澤 暁◎2000年、インフォデックス創業。イグナイトアイとの経営統合でThinkings代表取締役会長に就任。
吉田 崇◎2013年にイグナイトアイを創業。インフォデックスとの経営統合でThinkings代表取締役社長に就任。