2. 共通点探し
次にやるのは、見つかった素材、動作、形状から共通点のあるものを探すことです。
例えば『締める』という点で、「ペットボトルとキャップ」と「ボルトとナット」は一緒。『入れる』という点では、「土のう」と一緒。『持ち運ぶ』という点では、「バッグ」と一緒……などなど。まるで連想ゲームのように共通点のあるものを探していくと、ペットボトルの違った側面が見えてきます。このときのコツは、領域やスケールの違うものを選ぶということです。距離のある変な組み合わせのほうが、後々アイデアがジャンプします。
3. 共通点からアイデアを考える
最後に、たくさん出てきた共通点からいままでとは違う機能のアイデアを考えます。
例えば「ペットボトルとキャップ」と「ボルトとナット」の共通点を使って、ペットボトルを使って組み立てられるプロダクトをつくるというアイデア。このように1つアイデアが出ると、例えば「ボトル」と「土のう」は一緒という別の共通点を使って、ボトルの中に土を入れることで、より重く安定した構造がつくれるのではないか? といった感じで、アイデアが広がったりします。筆者は昔、これらの共通点を使って「CAPNUT」というプロジェクトをはじめました。ペットボトルで老若男女だれもが組み立てられる建築ユニットをデザインするプロジェクトです。ひとつの共通点から発明すると、ほかの共通点が連鎖してアイデアを強固にしてくれるのも、この発想法の面白いところです。
「ペットボトルとキャップはボルト・ナットと同じ構造」という共通点から生まれた「CAPNUT」。
以上のように、意外な共通点を探すところから始めてみると、いままでにないピボットの仕方が生まれ、既存の市場を拡張した新しい製品を生み出すきっかけになるかもしれません。さらに言えば、この発想法の根っこは、分断が進む世の中で、違いばかりでなく、あえて「同じ」を探してみることだと思っています。この「共通変」から、分断された社会をつなぐ素敵なアイデアが生まれてきたら、いままでより、ちょっとだけ世界がよい方向に変わる気がしませんか?
本連載で発表しているすべてのコンセプトは、実際にビジネスに取り入れられるよう、講演や研修、ワークショップとしても提供しています。ご興味ある企業の方は、Forbes JAPAN編集部までお問い合わせください。
電通Bチーム◎2014年に秘密裏に始まった知る人ぞ知るクリエーティブチーム。社内外の特任リサーチャー50人が自分のB面を活用し、1人1ジャンルを常にリサーチ。社会を変える各種プロジェクトのみを支援している。平均年齢36歳。合言葉は「好奇心ファースト」。
高橋鴻介◎電通Bチーム・発明担当。発明を通じて、世の中に埋もれた課題やポテンシャルを発見することがライフワーク。主な発明品に、点字と文字を組み合わせた書体「Braille Neue」など。