同報告書は、4万人以上の被雇用者を対象にしたアンケート調査結果をまとめたもの。調査では、リーダーの地位にある黒人女性は上昇志向が強い傾向にあることが明らかになった。上級役員になりたい人の割合は女性リーダー全体では49%だったのに対し、黒人女性リーダーでは59%だった。
しかし黒人女性リーダーは、自分の昇進が難しいことを示すシグナルを受け取る確率も高かった。多くの人が、同僚から能力を疑問視されたり、軽蔑的な対応を受けたりしていたほか、3人に1人は人種や性別などの個人的特徴により昇進を拒否されたり見送られたりしたことがあると回答した。
調査結果からは、次のような傾向が示された。
・「自分には十分な資質がないと言われたか、そう示唆された」人の割合は、黒人女性リーダーでは20%で、女性全体の12%や男性全体の6%よりも高かった。
・「実際よりも低い地位の人と間違われた」経験がある黒人女性リーダーは38%で、女性全体の26%や男性全体の13%よりも高かった。
・「自身の判断に疑問を呈された」経験がある黒人女性リーダーは55%で、全女性の39%や全男性の28%よりも高かった。
「上司からのサポート」の面では、黒人女性は男性や女性全体、LGBTなど性的少数者の女性、障害のある女性、白人・アジア系・ラテン系の女性のいずれをも下回り最下位となった。周囲からの支援や、心理的な安心感の度合いも、最下位に近かった。
安心感の欠如は、非常に多くの黒人女性リーダーが直面するある問題を浮き彫りにするものとも言える。それは、黒人女性がさまざまな課題や障壁に直面しながらも、安心して声を上げられないという問題だ。結果、多くの人が問題のある職場から逃れられず、自分の成長につながらない組織への貢献を続けている。退職を選ぶ人も多い。
起業の増加傾向が黒人女性の間で特に強いのも、これが理由かもしれない。JPモルガンによると、黒人女性が所有する企業の数は2014~19年の間に50%増え、その他の女性グループの増加率を上回っていた。一方でJPモルガンは、起業の成功に必要となる資本獲得において、黒人女性起業家はより大きな障壁に直面することが多いと指摘している。実際、黒人女性が立ち上げた会社は事業に失敗することが多い。平均年収は黒人女性起業家がわずか2万4000ドル(約320万円)なのに対し、女性起業家全体では14万2900ドル(約1900万円)だった。
もちろん、これまでに多くの黒人女性が、粘り強さや高い能力により成功を収めてきた。だがそれでも、土俵が公平ではないことに変わりはない。
(forbes.com 原文)