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2022.12.30

ウクライナ侵攻でSDGsはどうなった? 2023年はサプライチェーンが重要に

Getty Images

2022年2月24日に始まったロシアによるウクライナ侵攻。今年の漢字に「戦」が選ばれた理由のひとつにのぼるほど、象徴的な出来事だった。

この戦争は、世界の安全保障をはじめ様々なシステムに大きな影響を与えている。経済制裁などを通じた経済問題、サプライチェーンの問題、難民への支援などにも波及している。

世界がさらに混迷の時代に突入する中で、SDGsはどうなったのか。ウクライナ侵攻がSDGsにどのような影響を与えたのか、具体的に見ていこう。

ウクライナ侵攻で悪化したSDGs


まず、ロシアのウクライナ侵攻で起こっていることは、SDGsの目標16「平和と公正性」を根底から揺るがすものだ。

この目標のマークには、平和の象徴のハトがギャベル(gavel:裁判や議会などで用いられる儀礼用の小型の木槌)の上に乗っているイラストが描かれている。

目標に付随する「ターゲット」まで読むとその意味がわかるのだが、「平和で包摂的な社会を促進し、すべての人々に司法へのアクセスを提供し、あらゆるレベルにおいて効果的で説明責任のある包摂的な制度を構築すること」を指している。

報道などで目にすることはターゲットに明記されている様々な侵害に直接該当することがよくわかる。

ちなみに、ターゲットのキーワードだけを拾うと次のようになる。

16.1 暴力 / 16.2 子供虐待 / 16.3 司法への平等なアクセス / 16.4 組織犯罪 / 16.5 汚職や贈賄 / 16.6 透明性の高い公共機関 / 16.7 対応的、包摂的、参加型及び代表的な意思決定/ 16.8グローバル・ガバナンス機関への開発途上国の参加 / 16.9 出生登録を含む法的な身分証明/ 16.10 情報への公共アクセス / 16.a テロリズム・犯罪の撲滅に関する国際協力 / 16.b 持続可能な開発のための非差別的な政策推進

今、世界では、ウクライナで起こっている事実の裏付け作業が進んでいる。これを国際司法裁判所に持ち込むことで、戦争犯罪への糾弾といった動きにつながるが、目標16番を中心に平和と公正性の両方の側面で事態が評価されていくだろう。
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文=笹谷秀光

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