なお、サプライチェーンに関する問題の本質は、以下の5つである。
① 消費者に選ばれないようなものはつくらない
② 調達問題発生時のレピュテーション(評判)・ダメージが非常に大きい
③ 従って、企業規模を問わず、経営マターとしてサプライチェーン・マネジメントに取り組む
④ 常に世界情勢の分析を怠らない
⑤ 以上を経営問題として経営層が把握する
サプライチェーンのリスク管理については、自然災害対策などの対応であるBCPの手法に加え、より深いリスク管理が求められ、そこにSDGsが機能する。
中堅中小や非上場企業の企業も必ずどこかのサプライチェーンに属している。企業は、自社がサプライチェーンのどこに位置し、問題が起きた際にどのような影響があるかを把握すべきである。そのうえでビジネスモデルの見直しにもSDGsが有効だ。
出所:筆者作成『Q&A SDGs経営増補改訂・最新版」より
SDGsを経営マターとして戦略にビルトインし、羅針盤として活用しつつ、経営の舵取りと社内の意識改革を推進することができる。改めて、SDGsの「自分事化」のコツをつかむ必要がある。
SDGsは世界で通用する羅針盤
次から次と世界を揺るがす事態が起こる「混迷の時代」。世界で通用する何らかの羅針盤が欲しくなるところだ。
振り返ると、2015年9月に国連加盟193カ国すべての合意で、SDGsを盛り込んだ「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」が採択されたことは、奇跡的だったかもしれない。
世界感度が、ともすればずれがちな日本企業は、今こそSDGsを「自分事化」してグレートリセット(大変革)に向けてこれを使いこなす必要があるだろう。
筆者は、自身のキャリアで産官学のすべてを経験したが、SDGsのような関係者の連携を基本にする、世界に通用する羅針盤の重要性を改めて実感している。
本稿は10月発売の、筆者の最新刊『Q&A SDGs経営 増補改訂・最新版』(日経BP 日本経済新聞出版)の内容の一部を再編集しています。