企業がグローバル市場で高評価を得るためには、脱炭素の取り組みや人的資本といった非財務情報の開示が欠かせない。岸田文雄首相は2023年度から、有価証券報告書に非財務情報を記載するよう義務づけるとの意向を示している。具体的な内容は検討中だが、情報開示の流れが加速することは間違いない。
現時点で、上場企業の情報開示はどこまで進んでいるのか。業界によってばらつきはあるのか。この謎を解くために、TISの協力の下、業界別の開示充足率トップ企業を上にまとめた。
データの収集・分類に用いたのはTISの「SCORE LINK 非財務情報参照・点検サービス」だ。企業の有価証券報告書や統合報告書、CDPアンケートの回答を定期的にクローリングし、市場が求める非財務情報の開示充足率を可視化している。「よし悪しを評価するのではなく、開示文化を育むことを重視している」(TIS DXビジネスユニット ペイメントサービスユニット フィナンシャルサービス部長の小林秀史)ため、あくまで開示充足率のみを算出している点が特徴だ。
22年8月末時点で開示充足率が最も高かったのはENEOSホールディングスとJFEホールディングスで、いずれも78%だった。他方、情報開示が進まない業界や企業も少なくない。
「開示率の低さが、現在の事業環境に影響を与えかねない」(小林)。ステークホルダーから評価される企業になるためにも、まずは開示充足率が高い企業を手本に、情報開示の方針を検討するところから始めるのが得策だ。
開示充足率の算出方法
TISの「SCORE LINK 非財務情報参照・点検サービス」で、企業の「有価証券報告書」「統合報告書」「CDPアンケート回答」をクローリング。収集データをTCFDやCDPなどの開示基準に沿ってマッピングし、2022年8月末時点の非財務情報開示の充足率を算出。