業界は盛り上がるが「回復途上」との見方も
イベント会場となったのは、ロンドン東部に位置する「エクセルロンドン」。広大な床面積を持つ同施設フロアの大半を各国・各事業者の出展ブースが埋め尽くした。会場内の至る所でダンスや民族楽器の演奏、伝統料理の試食などが行われ、観光客気分で楽しめる。
会場内各所ではテーマごとにステージが設けられ、朝から夕方までセッションが展開された。筆者は3日間ともカンファレンスに足を運んだが、中には立ち見が出るステージもあり、「リベンジ旅行」の言葉に代表されるように、業界全体が盛り上がっていることを感じさせた。
出展ブースにもお国柄が出る。中東各国のブースはラグジュアリーさが際立っていた
一方で、まだ回復途上にあることも垣間見えた。コロナ前から参加しているというジャーナリストに話を聞いたところ、以前はもっとブースの数が多かったといい、「まだ今年は様子見で、来年以降に本格的に業界が復活するのではないか」と分析していた。
旅行者は近距離の旅行を選択
主催者側から配布された資料には、「サステナブルツーリズム」の文字が目立った。特に南米やアフリカの国々が力を入れているようだ。南米ガイアナの担当者は、自然豊かな観光地の写真を手に、自然環境の素晴らしさを筆者にアピールした。日本も負けていない。岐阜県の長良川流域は、2021年の「世界の持続可能な観光地100選」に選ばれている。岐阜県のブースでは、担当者がストーリー性のあるサステナブルツーリズムを来場者らに提案していた。
日本のブースでは商談が行われていた
今回、筆者は「サステナビリティステージ」のセッションを中心に聴講した。その中のあるセッションでは、ブッキングドットコムによる旅行者に対する最新調査が共有された。
・81%の旅行者が持続可能な旅行を重要視しており、50%が気候変動に関する最近のニュースに影響されて、より持続可能な旅行を選択するようになった
・59%の旅行者が「訪れた場所を到着時よりも良くして帰りたい」と考えており、33%が混雑を避けるためにピークシーズン以外の旅行を選択した
・23%の旅行者が、過去12カ月の間に、二酸化炭素排出量を減らすために、自宅からより近い場所に旅行することを選択した