・ブッキングドットコムの調査に対して、約半数(49%)が持続可能な旅行の選択肢が十分でないと回答。53%が持続可能性を阻害する場合は「イライラした」と答えた(この項目のみ2021年の調査)
業界全体でサステナブルツーリズムの推進を
調査結果を見る限り、消費者の持続可能な旅行に対するニーズは極めて高い。一方で、選択肢の少なさによって機会損失も生まれているとみられる。航空機による長距離移動の罪悪感も、想像以上に高まっているようだ。
サステナビリティステージは連日賑わいを見せた
そういえば最近は、LCCのチケット購入時、カーボンオフセットのオプションが表示されるようになった。筆者が確認した欧州内移動のケースだと、数百円支払うことで、航空機利用時に発生したCO2を「相殺」できる旨の説明書きがあった。それだけ消費者の環境への意識が高まっているということだろう。
筆者が調べたところによると、特に大陸間移動の航空券価格がパンデミック前と比較して高騰している。当面の間は、近・中距離の旅行が中心になるのではないか。事実、筆者は6月と11月にそれぞれ1カ月間ほど欧州に滞在したが、欧州内の移動に利用したLCCはほとんどが満席だった。
今後の旅行・観光産業は先行き不透明な部分も大きい。近・中距離移動が主流となりつつある中、欧米などの遠方から旅行者を呼び込むには幾多ものハードルがある。インバウンド観光施策は当面、東アジアや東南アジアの旅行者をターゲットにすることとなろう。
持続可能な旅行・観光産業の実現は今や世界の潮流となっているが、日本はこの部分が遅れている。サービスのクオリティーを高めるだけでなく、サステナブルツーリズムを推進しなければ、どんな国の旅行者からも振り向いてもらえなくなる。あと数年してZ世代の購買力が高まれば、サステナブルツーリズムのニーズはさらに高まっていくだろう。旅行・観光業界の近未来を感じた、カンファレンスでの学びであった。
連載:世界を歩いて見つけたマーケティングのヒント