ビジネス

2023.01.01

ファミリーマート代表取締役退任後、初めて語った「私が社長を辞めるまで」

植野大輔・澤田貴司

CxO(シーエックスオー)は、トップであるCEOを組織の要として支えるスペシャリストたち。

CCO、CFO、CIO、CLO、CMO、COO、CSO、CTO……こうした役職に必要な能力と条件、その立場から得られる知見とは? ローソンとファミリーマートのデジタル戦略を担った「コンビニの改革者」の植野大輔が、注目の人物にインタビューするシリーズ(隔月掲載予定)。


植野大輔(以下、植野):本誌創刊100号の特別ゲストは、私のファミマ時代のボス。あらためてファミリーマート(※1)社長就任まで伺います。

澤田貴司(以下、澤田):伊藤忠は新卒入社で16年勤めた会社。最後の5年はアメリカのセブン-イレブン買収を担当させていただき、本当に恩のある大好きな会社です。「企業内起業をしたい」と予算も付けてもらい挑戦はしたものの、能力不足で頓挫。「時期尚早」と評価され、辞表を出して飛び出した。ユニクロで柳井正さんの下「伊藤忠でできなかったことをやろう」と。

植野:澤田さんはファーストリテイリング副社長時代、柳井さんから「社長をやってくれ」と言われたのに断った。もし20年ぶりに頼まれたら?

澤田:もう絶対に言われないよ(笑)。それでユニクロを辞めてから自分でファンドをつくり、リヴァンプを立ち上げました。そこから社員が150人くらいになった様子まで伊藤忠の人がずっと見てくれていたんです。

そういう経緯があって2015年末に「ファミリーマートとサークルK・サンクスが統合しようとしている。これができるのはOBの澤田だろう」と伊藤忠から話をいただいたんですよ。リヴァンプもゼロからなんとか成長させた自負心があったから、お話を伺ったときは本当に嬉しかったね。

植野:リヴァンプのメンバー、特に当時ローソン社長でもあった玉塚さん(※2)はどんな反応を?

澤田:「世の中、何百万社という会社があるのに、よりによってファミリーマートはないでしょう」と泣かれた。でもタマは最高にいいやつなので、すぐ元通りになれたけど。

植野:ローソンとファミマの社長で両並び時代、ふたりで会いました?

澤田:ノーコメント。
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文=神吉弘邦 写真=有高唯之

この記事は 「Forbes JAPAN No.100 2022年12月号(2022/10/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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