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2022.12.23

DX化が進まないワケ。正しく理解するビジネスパーソンはわずか2割

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DXについて正しく理解している日本のビジネスパーソンは、わずか19パーセント。調査によって、そんなお寒い結果が判明しました。「自社のDXが成功している」と答えた人にどのような取り組みをしているかを尋ねると、6割が「ペーパーレス化」と答えるなど、DXの核心とはほど遠い、現行業務の効率化に留まっていました。ここからも、DXの本質が理解されていない現実が露呈しました。

IT人材の育成専門企業トレノケートホールディングスは、全国の20代から50代のビジネスパーソン588人を対象に「DXの理解度に関する調査」を実施しました。そこで見えてきたのが、日本企業のDXが進まない根本的な原因です。

まず、DXとは何かをおさらいしておきましょう。経済産業省は、DX(デジタルトランスフォーメーション)を「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」 と定義しています。

お役所言葉を翻訳すると、顧客からしてデジタル化してる今の世の中に対応できるデータ解析に基づくビジネスを構築するには、旧式の業務を根本から改革してデジタル化しないとダメでしょ、もう欧米もアジアもガンガン進めてるのに、日本だけボンヤリしてちゃダメでしょ、完全に置いていかれますよ、ということです。DXのキモは改革です。昔ながらの業務をデジタルの置き換えるのはDXでもなんでもありません。なぜ改革が必要かは、逆に本気でDXを進めようとすれば、今のやり方じゃダメだと自然にわかります。



そうしたことを踏まえて、この調査結果を見ると、なるほどと思えてくると同時に、問題は根深いことがわかります。まず、DXの定義をどう考えるかという問に対して、デジタル改革だと答えた人はわずか19パーセント。デジタル技術で業務を効率化すると答えた勘違い組は23.3パーセントもいました。「わからない」が38.8パーセントです。

自社のDXが成功していると答えた人に、どんな取り組みをしているかを尋ねると、60.6パーセントがペーパーレス化と答えました。そのほか、オンライン講義の実施や請求書のデジタル化といった、DXの手段を目的と思い違いしている人が95.5パーセントにのぼっています。



また、DXを学びたいかという問には、学ぶ予定がないと答えて人が86.6パーセントです。DXの本当の必要性を理解していなければ、学ぼうという気も起こりません。学ぶ予定がない人に理由を聞くと、何を学べば良いかがわからないと答えた人が47.2パーセントでした。これもまた、DXの必要性を感じていないがための結論でしょう。

そもそもDXのことをわかってない、というのが現状ですが、自動化をDXと勘違いして達成した気になっている人が多いことも、経産省がどんなに旗振りをしてもDXが進まない大きな原因と考えられます。

経産省は、ビジネスパーソンひとりひとりがデジタルリテラシーを習得して、改革のマインドセットを持てるようにと「DXリテラシー標準」を策定しています。DXの必要性を手っ取り早く実感したい人は、まずはDXが進んだ企業の様子を見ることから始めてはどうでしょう。だんだん焦ってくるはずです。

文 = 金井哲夫

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