国民保健サービス(NHS)が運営する医療機関の看護師などで組織されるRCNのストは、イングランドと北アイルランド、ウェールズで12月15日から開始され、看護師数千人が参加した。20日からは2回目のストが行われている。
RCNは、物価の高騰が続くなか、実質賃金が大幅に減少していることへの政府の対応を求めている。政府が対応を拒否すれば、RCNは年明けにさらに規模を拡大してストを実施する計画。看護師が出勤するエリアや行う業務をさらに絞り込む方針だ。
RCNの幹部らは、11月にストの実施計画を発表して以来、スティーヴ・バークリー保健相などに協議を申し入れてきたという。だが、政府は交渉に消極的だったとされている。
RCNのパット・カレン事務局長は、「政府の対応を求めたが……政府は私たちを無視することを選んだ」と発言。同時に、「私たちが患者を見放すことはない。だからこそ、私たちは今日、ピケラインを張っている」と述べている。
英紙オブザーバーによると、保健省と財務省の高官らは現在、問題の解決に向けて協議を進めている。また、RCNは政府に対し、年明けに計画しているストについて、22日までに対応を示すよう要求しているという。
カレン事務局長は、1月に実際にストを実際した場合、「より多くの病院とより多くの看護師が参加することになる」として、「2023年は、すべての人にとっての新たなスタートとなるべきだ」と話している。
NHSに関する情報を伝えるヘルス・サービス・ジャーナル(HSJ)によると、15日から始まったストに参加しているのは、イングランドにある39の病院で働く1万人近い看護師。公共の医療サービスは主に人員不足により、救急医療もその他の医療も、施設・在宅での介護ケアなどのサービスもすべて、危機的な状況が続いている。
一方、政府はストが実施される日には、救急車サービスに影響が及ぶことが予想されるとして、軍を動員することを発表している。
病院以外でもすでにストが継続
英国では数カ月前から、物価の高騰を理由に多くの産業分野でストライキが行われている。年末年始の休暇中は旅行者が増加することから、交通機関でさらなる混乱が起きると予想されている。
特に航空業界は、欧州の航空会社に加え、英国国境局の職員が23日から大みそかまで、複数の空港でのスト実施を計画しており、影響は大きいとみられている。
すでに何カ月にもわたって混乱が続いている鉄道も、クリスマスから新年にかけて複数の労組がストを行う予定。ロンドンとフランス、ベルギー、オランダを結ぶ高速鉄道ユーロスターでも一部の職員が、22~23日にストを計画している。
(forbes.com 原文)