格付け会社のスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は12月13日付のリポートで、マクラーレンの過半数株式を所有するバーレーンの政府系ファンド、ムムタラカット(Mumtalakat)が、2022年夏から現在に至るまでの期間に、計2億2500万ポンドを注入したと指摘した。
この資本注入は2段階に分けて行われ、うち1億2500万ポンドが7月から9月にかけて、11月に追加の1億ポンドが投じられたという。これだけの資本が注入されたにもかかわらず、売り上げは予測を下回っている。S&Pは、マクラーレンの「流動性は、逼迫した状態が続いている」と指摘している。
11月の追加資本投入は、マクラーレン支援のため、ムムタラカットが保有するクラシックカーの一部を売却したのちに実施された。
2022年におけるマクラーレン・グループの販売台数は、2021年と比べてさらに落ち込む、とS&Pは予測している。その原因としては、プラグインハイブリッドタイプの新モデル「アルトゥーラ」の納車遅延のほか、半導体チップやバッテリーに関してサプライチェーンのボトルネックが発生し、製造に遅れが生じているという事情がある。後者は、自動車産業全体が影響を受けている問題だ。
マクラーレンが製造する自動車の販売価格は、平均で30万ポンド前後だ。11月末の同社発表によると、9月末の時点で2200台以上のオーダーを抱えており、その半数以上が、前述のアルトゥーラへの注文だという。
2022年1~9月の販売台数は1359台で、前年同期比で13%減となっている。S&Pは以前、2022年通年の販売台数を3300台と予想していたが、現在は、最終的な数字は2000台近くになるとの見方を示している。また、2023年の販売台数についても、4000台以上という従来の予測値から、3000台前後へと下方修正した。