資本再編に関する議論
S&Pはさらに、マクラーレン・グループが「この段階で苦境に直面した場合、財務制限条項の猶予は限られている」と指摘している。マクラーレンは11月末、事業の長期的な安定性を確保するため、広範な資本再編のプロセスに関して、主要株主と「活発な議論」に入ったことを明らかにした。S&Pでは、2023年の最初の数カ月のうちに、資本の移動が発表される可能性があるとしている。
マクラーレンの現金残高は、9月末の時点で4700万ポンドまで落ち込んでいる。S&Pは、さらなる資本注入や流動性支援が得られない限り、この数字が今後1年以内にゼロになるおそれがあると警告している。
これらの山積する問題を踏まえてS&Pは、マクラーレン・グループの信用格付けをCCC+からCCCへと格下げし、さらに「クレジット・ウォッチ・ネガティブ」に指定した。これは、特に株主からの追加支援が望めない場合、さらなる格下げの可能性があることを意味する。投資不適格株の中でもかなり下の評価で、時には「ジャンク債」と呼ばれるレベルだ。
一般道を走るスーパーカーの製造以外にも、マクラーレンにはモーターレーシング部門もあり、フォーミュラ1(F1)、インディカー・シリーズ、また、電気自動車による国際オフロードレースシリーズ、エクストリームEに参戦している。
マクラーレンは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックで受けた打撃に対応するため、2021年にも湾岸諸国などの投資家から資金を調達した。同年7月には、オルタナティブ投資顧問会社のアレス・マネジメント(Ares Management Corporation)、およびサウジアラビアの政府系ファンド、パブリック・インベストメント・ファンド(PIF)から、計5億5000万ポンドを調達した。
これとほぼ同時期に、ムムタラカットと、民間セクターの複数の投資家が、1億5000万ポンドの資金を、転換優先株の形で提供している。これは、マクラーレンが2020年6月に、(ムムタラカットが株式を一部保有している)バーレーン国立銀行から、12カ月の期間で借り入れていた資金の返済を可能にするための資金だった。
(forbes.com 原文)