経済・社会

2022.12.20 10:30

米小売業は不況真っ最中か、それとも脱却しつつあるのか?

Getty Images

米ニューヨーク・タイムズは16日に、ブラックフライデーのセールにもかかわらず11月の米小売売上高が減少したと報じた。つまり、現時点では売上が本当に低迷しているということだ。このニュースにもかかわらず、米連邦準備制度理事会(FRB)は金利を0.5%引き上げた。利上げが発表されたその日のうちに、ペンシルバニア大学ウォートンスクール教授のジェレミー・シーゲルは米テレビCNBCで「FRBは我々を長期の不況に追い込んでいる」と断じた。

私はStates Street Research(ステーツ・ストリート・リサーチ)とPutnam Management(パトナムマネジメント)に勤めていた著名な小売アナリストのローレンス・ハバティーに注目した。ハバティーはすでに2四半期にわたって国内総生産(GDP)がマイナスとなり、物価も下がってきていることに気づいている。インフレは終わり、多くの種別で上昇する可能性は低いとハバティーは感じている。そしてFRBが0.5%の利上げを決定したことに驚いた。

ジェレミー・シーゲルは、輸送コストが急激に下がっており、一般的な輸送コストも同様だと指摘した。供給ラインのコストは低下している一方で、賃金は物価上昇時のインフレに追いついていないため、買い物客の金を自由に使える支出力は以前ほどない。食料品の価格は一部でゆっくりと下がっている。

2022年のクリスマス商戦は早く始まった。特に注目を集めたのは10月のAmazon(アマゾン)のプライムデーセールとMacy’s(メイシーズ)の積極的なセールだった。Kohl’s(コールズ)やWalmart(ウォルマート)、Target(ターゲット)は10月から11月にかけて強力な宣伝を展開した。このため、お買い得品を逃したくない買い物客の早めの買い物につながった。これは、感謝祭の翌日のブラックフライデーの需要を奪った。特に電子機器とテレビについてはそうだった。Best Buy(ベストバイ)やその他多くの店舗がブラックフライデーのお買い得な商品を早めに宣伝していた。

11月は伝統的に年末商戦の始まりで、感謝祭の休暇前に多くのセールが行われたが、感謝祭の週末に買い物をした米国人は2億人近くに上った。その中には消費額が急増するサイバーマンデーも含まれている。今度の週はどんな売れ行きになるのか、興味深いところだ。

寒さがいよいよ厳しくなり、ブーツや冬物商品が売れ出すだろう。加えて、12月24日はクリスマス前の土曜日だ。この日は売上が3~4%増となり、これによりクリスマスシーズンの売上は8~9%増が見込まれる。

FRBが利上げしたことで1月の売上が急減し、予定されているセールも行われないかもしれない。我々は不透明な時代の真っ只中にいる。Goldman Sachs(ゴールドマン・サックス)やMorgan Stanley(モルガン・スタンレー)など大手行が人員削減を行っている。他の企業も人員を減らしている。2023年は大変な年になるかもしれない。

forbes.com 原文

翻訳=溝口慈子

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