2020年に同社を立ち上げたバイロン・スローサー(Byron Slosar) は、ルイジアナ州にあるテュレーン大学の卒業生で、同大学の資金調達およびキャリア開発担当ディレクターも務めている。とくに、学生・卒業生・企業パートナーのコミュニティにおける、多様性・公平性・包摂性(DEI)の推進に力を入れてきた。
ハローハイヴは、クラウドベースのオンライン求人プラットフォームとして、リンクトインやグラスドア、ジップ・リクルーター、ハンドシェイク、ナック(Knac) などと競合しているが、順調な成長をみせており、2年足らずのあいだに以下の成果を達成した。
・学生および最近の卒業生の利用者が、600人から、2万2000人以上に増加。
・利用者が在学または卒業した4年制大学の数が、100から約1400に増加。
・約80の企業パートナーと提携。アクセンチュア、ディズニー、サックス・フィフス・アベニュー、アメリカン・エクスプレス、ウェルズ・ファーゴ、フランクリン・テンプルトン、ゴールドマン・サックス、カプリ・ホールディングスなど。
15年間にわたって学部生のキャリア開発および就職に携わってきたスローサーによると、主要校のキャンパスを拠点とした従来のアプローチだけに頼った求人活動は、不公平で非効率的なものになりかねない。ほとんどの大学生は、キャンパスの就職センターに頻繁に顔を出すわけではない。さらに、卒業の時点で、就職市場において有利なスキルを習得できていると考える学生は、3人に1人もいない。学生たちはふつう、卒業間近になってようやく就職活動の準備をし始める。
しかも、多くの学生たち、なかでもこれまで高等教育において少数派集団だった学生たちにとって、キャリアについて学び備えることは極めて難しかった。卒業後の最初の仕事に就くために極めて重要である、インターンシップや卒業生のネットワークへのアクセスが限られていたからだ。
スローサーがハローハイヴを創業した目的は、「企業ではなく、学生と最近の卒業生のためにデザインされたプラットフォームをつくる」ことだった。そのため、プラットフォームにはいくつかユニークな特徴がある。第一に、就職市場で何が有利なのかを余裕をもって学べるように、学生に1・2年生のうちから登録することを推奨している。
サイトには、学生のキャリア開発に役立ち、労働者のDEIを推進する取り組みについて情報を得られるプログラムや体験が豊富に用意されている。
ハローハイヴを利用する学生たちは、「フライハイア・ポータル(FlyHire Portal)」にアクセスして、早期エンゲージメントプログラムやインターンシップ、フルタイムの求人情報を閲覧し、応募することができる。
こうしたプロセスにおいて、主導権を握るのは学生だ。学生から先に接触しないかぎり、企業が彼らの個人情報を得ることはない。スローサーは、応募者のプライバシーを保護することを目的としたテクノロジーの設計である点を強調する。学生が最初の一歩を踏み出すまで、採用者側は履歴書やプロフィルにアクセスできない。