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2022.12.27

自動運転の「軍事利用」に活路を見出すテクノロジー企業

(C)KODIAK

長距離輸送トラックの自動運転テクノロジーを手がけるシリコンバレー企業「コディアック・ロボティクス(Kodiak Robotics)」は、米国防総省から4990万ドル(約68億円)の契約を獲得し、陸軍が将来の利用を想定する軍用ロボット車両のソフトウェア開発に乗り出した。

コディアックは、24カ月の契約期間中に、危険な軍事作戦から人間を排除することを目的とした誘導システムの作成を支援する。同社は、自律走行を行う軍用車両のソフトウェアとセンサーシステムを提供するほか、人間のオペレータが操作を行うための遠隔操作システムの開発を行うという。国防総省によると、このプロジェクトには、カリフォルニア州に拠点を置くApplied Intuitionも参加する。

マウンテンビューに拠点を置くコディアックの創業者でCEOのドン・バーネットは、「当社は、商用目的で開発した自律システムを、監視や偵察などの用途にフォーカスした陸軍の地上自律システムに適用する。当社のテクノロジーが軍事方面に適用範囲を広げ、軍人たちの命を救うことは、自然な流れだと考えている」と述べた。

一般向けの自動運転テクノロジーの商用化が失速しつつあるなかで、コディアックが獲得した軍事向けの契約は、このテクノロジーの未来に新たな希望を与えるものだ。さらに、自動運転テクノロジーのルーツが、2000年代前半に国防高等研究計画局(DARPA)が主催した一連の技術コンテストにあることを考えると、その原点に立ち返ったようにも見える。

国防総省の防衛イノベーションユニットのケビン・オブライエンは、「過去20年の間に民間分野で開発され、成熟したテクノロジーを国防総省に持ち帰り、利用することを切望している」と述べている。コディアックは、トラック向けの自動運転技術の収益化が2025年以降になると考えており、国防総省との契約は、同社にとって短期的に貴重な収益をもたらすことになる。

ここ最近、自動運転テクノロジーのスタートアップは苦境に直面しており、フォードやフォルクスワーゲンから30億ドル以上を調達したアルゴAIは10月に閉鎖された。一方、コディアックの競合のTuSimpleは、創業者を追放して以降の社内の内紛で上場廃止の危機に直面している。

アルファベット傘下のウェイモと、GMが支援するクルーズは、ロボットタクシー事業の構築を続けているが、アナリストは、この分野の競争が激化する中で、さらなる統合が進むと予想している。

「当社は、現状でいかなる統合の話にも加わっていないが、状況が厳しさを増す中で興味深い動きが出てくる可能性もある」と、コディアックのバーネットは述べた。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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