スタンフォード大の日本人学生が感銘を受けた、教授たちの活動姿勢

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なぜスタンフォード大学から優れた起業家が生まれるのか──。

本連載では、現地に1年間滞在し、スタートアップ・エコシステム調査を行う芦澤美智子が、その内部の実態を探りお届けしていきます。

第3回は、弁護士としてブロックチェーンなどの案件にも携わってきた宇田川翔(うだがわ・しょう)さん。2022年からスタンフォード大学法科大学院に在籍しています。宇田川さんに、日米の他大学との違いを聞きました。


スタンフォードを選んだ理由


──スタンフォードに来た経緯は。

弁護士としてIT関係の方々と仕事をするうちにブロックチェーンに興味を持ち、暗号資産やセキュリティ・トークン、NFT等の案件に関与してきました。また、簡単なプログラミングをして、ビットコインやイーサリアムのネットワークに参加するなど、趣味としてもブロックチェーンに携わっていました。留学では、法律の側面のみならず技術にも触れ、ブロックチェーンに対する従来の自分の考え方をじっくりと仮説検証する機会にしたいと考えました。

ブロックチェーンに関する授業に力を入れている大学を探したところ、主な候補はUCバークレー校、ニューヨーク大学、スタンフォード大学。そのなかでもシリコンバレーと最も繋がりが強く、テクノロジーに強いスタンフォードを選びました。

私は現在、スタンフォードの法学大学院にある4コースの1つである、LST(Law, Science and technology)コースに所属しています。LSTの学生は1学年25名ほどと少数。今の学期では「ブロックチェーン/暗号資産」「米国会社法」「Law, Science & Technology セミナー」を履修しています。

──ブロックチェーンを学ぶ計画について教えてください。

現在履修中の「ブロックチェーン/暗号資産」では、規制の全体像のみならず、ビットコインの送金システムの詳細な技術面や、その処理速度・利便性を高める改善提案等についても学んでおり、まさに思い描いていた内容に触れることができています。

1番の楽しみは、次の学期で履修予定の「ブロックチェーンエンジニアリング」です。この授業はロースクール向けの授業ですが、法学とコンピューターサイエンスの両方の観点から、さまざまなプロジェクトにアドバイスをされている方が講師です。授業のなかでイーサリアム上にアプリケーションを構築するなど、実践的な内容と聞いています。

ブロックチェーン関連でここまで踏み込んだ科目があるのは、スタンフォードならではと感じています。あとは工学部が提供するプログラミングのクラスも履修してみようと思っています。学部を横断して履修できるのは、スタンフォードの良さの一つです。
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文=芦澤美智子、尾川真一 編集=露原直人

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